春先に比べてやや改善 6月の鶏卵需給
年間では楽観できない情勢続く
5~6月の鶏卵相場(JA全農たまご・東京M加重平均)は、連休明けの5月7日に5円下押しした後、165円でもちあっているが、下旬に暑さが続いたこともあって、6月5日に大玉が上昇。6月19日現在の標準取引価格は、5月初旬の157円から4円上昇し161円となっている。
6月の需給については、4、5月に比べて締まってきたとの声が多い。要因としては、①4月23日に発動した成鶏更新・空舎延長事業や自主的な換羽誘導による生産減②取引価格の低迷によるドラッグストアやスーパーなどでの安売りや特売の増加③大手外食チェーンのプロモーション需要④鶏卵の魅力や栄養価の高さを取り上げたテレビ番組が相次いだこと――などが挙げられている。
このため、鶏卵相場は20日に大阪、名古屋、福岡で大玉を中心に上昇した。これに東京が追随すると、標準取引価格が安定基準価格の163円を上回って成鶏更新・空舎延長事業が停止する可能性も出てきている。
成鶏更新・空舎延長事業への参加申請羽数は、発動1か月前の3月24日分から合わせて530万羽近く(平成25年度は4月13日~7月18日で502万4000羽)に達しているのではないかとされるが、事業に協力する成鶏処理場の受け入れ枠がほぼ一杯となる中、申請の勢いは弱まっているとも言われる。
また、淘汰される数百万羽分の多くが、60日間の空舎期間が終わる夏以降には再導入されるため、仮に500万羽分が実際に早期淘汰された場合の減産量は、計算上は約1万5000トン程度にとどまり、え付け羽数の動向などから計算される年間の鶏卵生産量は、依然、昨年の約260万トンを上回る情勢。
直近の鶏卵需給も「溜まっていた在庫がなくなってきた」との声は聞かれるものの、「足りない」との声は少なく、上昇力は非常に低いまま。消費の回復も「低卵価による需要増やテレビ番組の影響など、一時的なもの」との声が聞かれ、夏以降に再び需給が悪化して、空舎延長事業が発動する懸念も指摘されるなど、依然、楽観を許さない情勢となっている。
7~9月の飼料価格も1500円程度上昇するとみられている一方、年間鶏卵相場が190円以下になる可能性も変わっておらず、引き続き消費拡大に向けた活動や生産計画の見直しがなければ、低卵価が長期化しかねない情勢が継続している。
今後の鶏肉相場 弱含み推移?
6月の東京日経加重は、もも肉574円、むね肉277円の計851円でスタートしたが、19日には、もも肉562円、むね肉269円の計831円まで下げている。
例年、梅雨の時期は需要は低調で相場も下げ基調で推移するため、今後も弱含みの推移とみられている。