日本養鶏協会から「おや鶏」レシピ集発刊 メニュー普及へ試食会
(一社)日本養鶏協会(齋藤利明会長)は、成鶏肉(おや鶏肉)の魅力を消費者や中食・外食関係者らに知ってもらおうと、その特徴や、おすすめの調理法をまとめた『おや鶏レシピBOOK』をこのほど発刊。2月14日に東京都港区の「厨BO!SHIODOME」で掲載レシピの試食会を開き、加工メーカーとの意見交換も行なった。
同協会の「平成31年成鶏処理流通円滑化推進事業」と「成鶏肉消費拡大対策事業」の一環としてレシピ集を作成したもので、主なレシピは昨年3月の日本成鶏処理流通協議会(松尾邦光会長)による『おやどりサミット』内で披露されたもの。イベントにはおや鶏肉の生産、処理、販売に携わる事業者や、関心を持つ企業、メディアなどの約70人が参加した。
冒頭、成鶏処理流通円滑化事業の田中智夫委員長(麻布大学名誉教授〈農学博士〉)が「これまで加工用に使われてきた食材だが、料理研究家の池田先生にご尽力をいただき、テーブルミートとしておいしく食べられるレシピを開発した。皆様には宣伝をお願いし、おや鶏肉の消費がますます拡大することを期待している」とあいさつ。農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課の望月健司課長は祝辞の中で、おや鶏肉の普及には優れたレシピ開発に加えて、成鶏処理場の迅速な処理が不可欠とした。
試食会では、エリカカンパニーの池田恵里代表が考案した「プチっと一口唐揚げ」「おや鶏の甘辛いためバジル風味」の2品と、㈱クリチク考案の「粗挽きゴロゴロ 鶏だんごのめちゃうまスープ」、静岡県成鶏加工協同組合の「おや鶏むね肉の佃煮」が参加者に供された。
池田代表は、現代社会で普及する料理のポイントとして、家庭では手早く調理できることが重要で、中食・外食分野では各社(各店)のセントラルキッチンとインストア調理のどちらにも対応できるメニューが支持されやすいと解説。一口唐揚げについては、むね肉を1センチ角に切って酒かすに漬け込んだことで適度な歯ごたえとなり、揚げる時間も短縮できたと紹介。「いまは人件費が高騰しており、店舗などで揚げる時間が長いと(雇用側も)困難を極める」などとした。
もも肉とバジルを合わせた一品は、おつまみにもおかずにも向くとし「いまの中食と外食業界は、夜の需要をどのように喚起するかに懸命。すきっとした味で、何度も食べたくなるように仕上げた」と説明した。また池田代表によると、おや鶏肉の消費拡大面では①消費者の節約志向を背景に支持される②コラーゲンを豊富に含むため健康面のニーズを得られる――可能性があるという。
クリチクの栗原博文社長は、おや鶏の肉団子は非常にうま味が強いため、具材としての良さだけでなく、だし要らずのスープ料理となる優位性も強調。静岡県成鶏加工協同組合の芳賀恒仕入課長は、細かく刻んだむね肉を炊飯器に入れて作る佃煮を「普通の鶏そぼろとは違う〝肉々しい食感〟と、噛めば噛むほど出るうま味を楽しんでほしい」と紹介した。
試食後には(一社)日本食鳥協会の鈴木稔専務理事が各メニューの印象を述べた上で「東南アジアの人は日本人が硬いと思うくらいでも『あれが鶏の味』と理解しており、おや鶏の輸出にはかなり夢があると思う。また、おや鶏肉とブロイラーのむね肉を競合すると考える人が多いが、互いに代替できるものでもない。鶏肉の輸出は需給(調整)と消費拡大の上でツールとなりつつある。当会がモノを売るわけではないが、おや鶏も含めて応援していきたい」との考えを示した。
日本成鶏処理流通協議会の松尾邦光会長(印南養鶏農協組合長)が、昨年3月のおやどりサミット開催や、今年1月の同会青年部による食品展『居酒屋Japan』への出展といった活動内容を報告。同展に合わせて作成した『会員企業の所在地マップ』と『ご当地親どり料理のグルメマップ』とともに、最新の『おや鶏レシピBOOK』も活用して消費拡大につなげたいとし「当会の大きな仕事はおや鶏をしっかり売っていくこと。これを契機に、消費者や加工メーカーの方々に良さをアピールしていきたい」と閉会の辞を述べた。
続いて参加者間でのマッチング会に移り、養鶏生産者や成鶏処理企業の各氏は、ヤマサ醤油㈱、三菱ケミカルフーズ㈱などの企業とおや鶏肉の生産や消費、加工状況などについて意見を交わした。