年内の需給は底堅く推移 日本養鶏協会の鶏卵需給見通し
長期的には供給過多を懸念
(一社)日本養鶏協会は10月6日、令和3年度の第1回鶏卵需給見通し(令和3年9月)を公表した。
鶏卵需給見通しは、鶏卵生産者経営安定対策事業の実施要綱に基づき年2回(9月と3月)作成するもので、①最近の動向(鶏卵をめぐる情勢、消費の動向、供給の動向、価格の動向、輸出の動向)②今後の需給見通しについて(短期的な見通し、長期的な見通し)――で構成される。
短期的な需給見通しでは、コロナ禍の影響を受けて、家計消費と加工用が増加する一方で業務用が減少し、鶏卵の需要は依然として厳しい状況が予想されるが、鳥インフルエンザにより減少した生産量の回復は、年内は限定的であることから、価格は底堅い動きが予想される。
2022年以降は生産量が回復し、需給バランスが崩れることになると、価格に大きな影響が出ると予想される。
長期的な需給見通しでは、需要面は人口減少のペースが早まっていると推察されることや、1人当たり鶏卵消費量の大幅な増加は期待しにくく、2030(令和12)年の1人当たり消費量を22.2キロと見込むと、2030年全体の需要量は約268万トンとなり、2020年より約5.8万トン(約2.1%)減少する見込み。
供給面は生産者の増産意欲が高まることなどを踏まえると、2030年の生産量は約271万トンと見込まれる。輸入量も需要量の約4%を占める約11万トンと仮定すると、2030年の供給量は約282万㌧となり、2020年より約7.7万トン(約2.8%)増えて供給量が需要量を上回る。
この見込みが現実となった場合は需給バランスが大きく崩れ、鶏卵価格の大幅な低下が想定されることから、慢性的な供給過多を回避するために①国内の消費拡大策の検討②輸出の大幅な拡大③過剰な生産を抑制するために需給情報の共有――などに努める必要があるとしている。【鶏卵需給見通しの内容は次号で】