国内侵入リスク高い 今秋の鳥インフルエンザシーズン
農水省対策本部 発生防止に万全の対策を!
農林水産省は9月10日に「農林水産省鳥インフルエンザ防疫対策本部」を開き、今秋からのシーズンも鳥インフルエンザの侵入リスクが高いとして、10月1日に改正・施行する家畜伝染病予防法施行規則、飼養衛生管理指導等指針、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、発生予防の強化と発生時の迅速な防疫措置に備えることを確認した。
9月10日の対策本部であいさつした野上浩太郎農林水産大臣は「昨シーズン、わが国では高病原性鳥インフルエンザが18県・52事例で発生し、殺処分羽数は過去最大の約987万羽にのぼる。昨シーズンの特徴は、連続して大規模農場で発生したこと、農場が密集した地域で多発的に発生したことが挙げられる。また、生産者によって飼養衛生管理基準の順守状況に大きな差があったこと、埋却地確保などに時間を要した結果、防疫業務が長期化したなどの課題も明らかとなった。
これらの課題に対応するため、飼養衛生管理基準などを改正し、畜舎ごとに担当の飼養衛生管理者を選任することの義務付けや、事前の埋却地の確保、家畜の伝染性疾病の発生に備えた対応計画の事前策定などの対策を強化した。
秋には、次の鳥インフルエンザシーズンが始まる。海外の状況を踏まえると、引き続き注意が必要で、飼養衛生管理の徹底が求められる。今回の改正を踏まえた対策をしっかり実行に移し、発生防止に万全を期してほしい」などと述べた。
農水省では、①日本での20年秋~21年春の流行株は前年に欧州で流行したもの②欧州では20年秋~21年春には別の株も大流行した③今年4月以降、日本に飛来する渡り鳥の営巣地があるロシアや中国でも発生した――などを踏まえ、今秋に国内に侵入するリスクは高いとして、改正した飼養衛生管理基準などに基づき、10日付で各都道府県や関係団体に「令和3年度における高病原性鳥インフルエンザ等の防疫対策の徹底について」の通知を出した。
通知では、発生予防対策として飼養衛生管理基準の順守指導の徹底を挙げ、10月から来年3月まで、毎月7項目の順守状況を一斉点検する。
まん延防止対策では、①早期発見・早期通知②的確な初動対応の徹底と連携体制、埋却地などの確認③10万羽規模の肉用鶏農場、6万羽規模の採卵鶏農場、県内最大規模の養鶏場を想定した防疫演習――による万全な防疫体制の構築を求めている。
農水省では、9月28日に都道府県や関係団体などを対象に「越境性動物疾病防疫対策推進会議」を開き、対策について共有・点検・確認する予定。