全鳥連青年部が全国大会 チキン消費拡大の取り組みなど紹介

総会の部では、各都府県組合の青年部代表らが登壇。目下の課題や取り組みを、全国の会員やOBらと共有した

全国食鳥肉販売業生活衛生同業組合連合会(全鳥連、新井眞一会長)の青年部は10月27日、東京都台東区の台東区民会館で平成30年度の全国大会を開き、神奈川、愛知、埼玉、京都、大阪、香川、福岡、徳島、東京などの各都府県から多数の青年部会員やOBらが出席した。

東京大会は、ローテーションでは香川大会の翌年だったが、オリンピック・パラリンピックを控える東京では来年以降、諸準備や施設の確保などがより難しくなることが懸念されたことから、香川県の組合員の快諾を得て今年実施したもの。

東京都食鳥肉販売業生活衛生同業組合(東京食鳥組合)青年部の磯田聖規氏(㈱鳥新)の司会で進め、同青年部の青鹿孝元部会長(合羽橋栃木屋)の開会の辞に次いで、東京食鳥組合の鈴木章夫理事長(㈱鳥籘)があいさつし、全国からの出席者を歓迎。専門店の魅力について「食材のことは一番分かっている。スーパーは売れ筋以外のものは置かず、余る部位が出たりしている。一方、消費面では切ったもの、加工したもの以外は売れなくなり、特に若い人は鶏肉の食べ方を知らないが、レストランや焼き鳥屋で食べておいしいものは浸透し、『白レバはないの』などといった質問が来たりしている。

生産面では、増羽により鶏肉の流通量が増えている。相場は以前から、生産が最も増えている暮れの時期に急に上がる傾向があり、これはなぜかと食鳥協会でも常に話しているが、今年は落ち着いた推移が予想され、良い傾向と思っている。直近も、景気が良いわけではなく、作っている量に比べると売れていない。

このような情勢下で専門店は、様々な部位を使い、買った人がおいしく食べられるような、また見た目でおいしさがはっきり伝わるような加工品を開発すると良いのではないか。今後も皆さんとともに相談しながら進めていければと思う。青年部の皆さんが、食鳥業界を背負っていく。この業界がますます発展することを祈念している」と述べた。

総会の部では、各都府県の青年部の代表が、今年度の活動内容を報告。神奈川県は鈴木隆氏(㈱鈴音)、愛知県は市川勝丸氏(㈲鳥市精肉店)、京都府は松本嘉広氏(㈱とり治)、大阪府は芝池宏訓氏(㈱チアフルフーズ)、福岡県は河津英弘氏(トリゼンフーズ㈱)、東京都は鈴木昌樹氏(㈱鳥籘)、香川県は西原瑶二氏(農協食品㈱)が登壇し、各地の課題や取り組みを紹介。

台風など相次いだ災害による施設・設備への直接被害や流通ストップ、これに伴う観光客の減少などへの対策、〝モノ〟から〝コト〟へのインバウンド消費の形態の変化、人手不足・人件費・物流費の高騰への対策、高付加価値品や安全・安心を担保した商品の伸長、専門店の強みを生かした情報発信力・提案力・新商品開発の大切さ、来年の消費増税による景気悪化への懸念と「お買い得感」のある商品開発の重要性などについて意見が出された。

来賓の新井会長が祝辞を述べ、全鳥連の運営について「会員減により、かなり厳しい運営状況になっていることから、全国の日本食鳥協会員に賛助のお願いをすることになった」ことを報告した一方、近況について「鶏肉自体は最もヘルシーかつ安価な食肉として、今後も伸びていくと考えている。ただ今年は、本当に災害が多く、温暖化の影響もあるかと思うが、異常な暑さと、これまでとは異なる進路の台風にも襲われた。今後は、このような異常が通常になっていくのではないかとも感じるため、備えをしていかなければならないと思っている」と述べた。

新井会長と、東京食鳥組合の鈴木理事長が、青年部への助成金をそれぞれ贈呈。来年度の青年部大会は、香川県で開くことを決め、東京食鳥組合の樋口和氏(㈱トーモト)のあいさつで総会の部を終えた。

研修会の部では、保護司として22年間活動し、昨年の国連極東アジア犯罪防止研修会に東京代表として参加した台東区保護司会の針谷修会長が「修学は更生への近道(保護司と協力雇用主制度)」をテーマに講演した。容疑者の書類送検や逮捕後の経過、保護司の仕事などを解説し、現在の刑務所は、いわば近代的な工場となっており、食事もベジタリアンやアレルギー患者に対応したメニューも用意されるなど変化している一方、出所者の就職先は依然、見つかりにくく、無職者の犯罪が非常に多いことなどを説明。

このような背景から、出所者らを受け入れる協力雇用主制度があり、各都道府県の保護観察所に登録して出所者を雇用した企業には奨励金などが出ることや、万一問題が起きた際は200万円まで補償があること、雇用前にテレビ電話で面接が可能なことなどを説明し、「ぜひ協力雇用主になっていただき、社会を明るくする運動に参加してほしい」と呼びかけた。

来賓の井元弘名誉会長(㈱鳥芳)も登壇し、全鳥連の活性化策について「我々会員だけの考え方でやっていれば、会員が増えることはない。現状の問題は何かについて、第三者に調査依頼をしてはどうか。それに伴う調査費は決して高くない。それくらいのことをすれば、今までと違うことが分かってくる。心ある人は検討していただきたい。青年部の行き方も大胆に見直してはどうかと痛切に感じている。見れば明るい顔が少なく、それでは商売は繁盛しない。特に東京には全国の軸になっていただかなければならない。さらに、食鳥肉という名称は、消費者には分かりにくい。お客様に売り込んでいくには、チキンという名称のほうが良いのではないか。そのような思いもしている。

HACCPにも取り組んでいかなければならない。〝既に保健所から様々言われている〟との思いの方もおられるかもしれず、様々な難問題もあるかと思うが、国政レベルの話であり、消費者の信頼を得るため、これまでの衛生管理に上乗せするのではなく、整理をしているとの気持ちで取り組んでいただきたい。このようなことは、これからのトリ屋を背負っていく方々にはぜひとも考えてほしい。自分だけでなく、産業全体が良くならないと、自分の店も良くならない。消費者団体とも、親戚づきあいをしていかなければならない」と激励した。

引き続き開いた懇親会は、東京食鳥組合青年部の根本修氏(㈱鮒忠)の司会で進め、戸田貴久氏(宮川食鳥鶏卵㈱)が開会の辞を述べ、東京食鳥組合の戸田勝彦副理事長(同)の発声で乾杯。東京食鳥組合の青年部会員が用意した余興を楽しみながら、にぎやかに懇親を深めた。