全農、トン約650円値下げ 10~12月期配合飼料価格

生育時の天候良好で穀物価格下落

JA全農は9月20日、2019(令和元)年10~12月期の配合飼料価格について、飼料原料や為替の情勢を踏まえて、全国全畜種総平均でトン当たり約650円値下げすると発表した。値下げは3期連続。ホクレンは同日に約550円の値下げを発表。商系メーカーの日清丸紅飼料は25日、フィード・ワンは26日、中部飼料は27日に値下げを発表した。

令和元年度の配合飼料価格は第1四半期(4~6月)、第2四半期(7~9月)に続き、3期連続で値下げ(合計値下げ幅は約1900円)となる。平成26年4月以降の値上げと値下げを計算すると、26年1~3月期に比べて2700円安となる。

今回の値下げの要因について全農は、米国産地の天候不順によってトウモロコシと大豆の作付けが遅れたものの、その後、生育に適した天候が続き、価格が値下がりしたことなどを挙げている。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。全農が発表した飼料情勢は次の通り。

▽飼料穀物=トウモロコシのシカゴ定期は、5月下旬には390セント/ブッシェル前後で推移していたが、米国産地での作付け進度が大幅に遅れたことから、6月には450セント/ブッシェル台まで急騰した。その後、受粉に適した天候が続いたことや、8月12日発表の米国農務省需給見通しで、単収が市場予想を上回ったことなどから軟調な展開となり、現在は360セント/ブッシェル台となっている。また、シカゴ定期に加算される内陸産地からの集荷コストなどは、米国産の輸出需要が減退しているため、需給緩和などから値下がりしている。今後は、作柄の改善により需給は安定していることから、現行水準での推移が見込まれる。

▽大豆かす=大豆かすのシカゴ定期は、5月下旬には330ドル/トン台で推移していたが、米国産大豆の作付けが降雨により遅れたことから、6月には350ドル/トン台まで値上がりした。その後、生育に適した天候となったことから軟調な展開となり、現在は320ドル/トン台となっている。国内大豆かす価格は、シカゴ定期の値下がりと為替の円高などにより、値下がりが見込まれる。

▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、5月には45ドル/トン前後で推移していたが、中国向けの南米産大豆の輸送需要に加え、トウモロコシの輸出も本格化したこと、また中国の粗鋼生産の増加に伴い、鉄鉱石の輸送需要が増加したことから上昇し、現在は55ドル/トン前後で推移している。今後は、輸送需要が引き続きおう盛であること、さらに令和2年1月から開始される国際海事機関による環境規制強化への対応に伴い、燃料コストなどが上昇することから、海上運賃は値上がりが見込まれる。

▽外国為替=外国為替は、6月には1㌦=108円前後で推移していたが、8月に入り、トランプ大統領が中国に対して追加関税を課すと表明したことにより円高が進み、106円台で推移した。その後、米中貿易協議の進展期待が高まったことから、現在は108円前後となっている。今後は、米国経済は依然として好調であるものの、米中貿易摩擦の長期化による世界経済の減速懸念も払しょくされていないことから、相場は現行水準で推移するものと見込まれる。