令和3年度のブロイラー出荷見通しは1.4%増 日本食鳥協会主要産地協議会
鹿児島0.9%増、宮崎1.6%増、岩手・青森1.7%増
(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は、10月7日にオンライン形式で令和3年度第1回主要産地協議会(議長=内田真朗宮崎くみあいチキンフーズ㈱社長)を開き、主要産地(鹿児島県、宮崎県、岩手県・青森県とその周辺)の令和3年度ブロイラー出荷実績・見通しを報告した。
冒頭、主要産地協議会の内田真朗議長は「販売状況は、昨年のコロナ禍のような特需は鈍化しているが、夏場の一時期を除いて比較的順調に推移している。今後は需要期に向かうことや、緊急事態宣言の解除による外食需要にも期待している。生産状況は、大腸菌症や熱死による育成率の低下が一部でみられたものの、総じて順調な状況が続いている。一方、製造面では慢性的な人手不足に加え、技能実習生の入国が進まないことや、工場従業員の新型コロナ感染や学校などでの感染拡大による家族の自宅待機による休みが続いている。安定的な工場稼働に向けて感染対策のさらなる徹底が求められている。本格的な鳥インフルエンザのシーズンになる。昨シーズンは52事例の発生があったが、今シーズンも改めて防疫体制の徹底を図りたい」とあいさつした。
日本食鳥協会の佐藤実会長は「生産については順調に推移していると判断している。10月になり鶏肉の消費は本格的なシーズンに入った。これからさらに上向くものと期待している。海外の産地をみると、タイでは工場で新型コロナのクラスター発生や、従業員が集まらないことで稼働がままならず、厳しい減産に追い込まれているため、国産チキンは例年以上に期待されている。生産は順調であまり心配していないが、鳥インフルエンザの発生リスクはこれから常に付きまとうため、発生予防を徹底して順調な生産を続けてほしいと願っている。配合飼料価格が高止まりしているため、何とか対策をしなければならないと思っているが、どのような手を打てばよいか全く分からない。飼料基金の補てん財源も底をつくと言われており、新たな飼料対策の制度を業界挙げて話し合い、まとめなければならないと考えている」などと述べた。
来賓として出席した農林水産省畜産局食肉鶏卵課の鈴木浩幸課長補佐は「鳥インフルエンザについては、今シーズンも昨シーズンと同じように海外で発生しているため、引き続き警戒が必要な状況である。昨年の鶏肉の輸出額は過去最高の約21億円となったが、今年(1~8月累計)は鳥インフルエンザ発生の影響で前年同期を下回っている。手羽やモミジが主要アイテムであるが、正肉の輸出にも力を入れていくため、皆さんのご協力をお願いする」とあいさつした。
主要産地のインテ18社からの報告(令和3年度4月~7月は実績、8月以降は実績・見通し)を基にまとめた令和3年度のブロイラー出荷実績・見通しは、上期(4~9月)が前年度実績に比べ1.3%増(317万4000羽増)の2億5658万羽、下期(10~3月)が1.6%増(425万3000羽増)の2億6475万5000羽で、年度合計では1.4%増(742万7000羽増)の5億2133万5000羽となった。
4月6日に報告した令和3年度の当初出荷計画と比べると、年度合計の出荷実績・見通しは172万羽下回る見込み。
このうち、鹿児島県のインテの出荷実績・見通しは、上期が前年度実績に比べ0.4%減の6964万6000羽、下期が2.1%増の7291万7000羽で、年度合計では0.9%増の1億4256万3000羽。鹿児島県養鶏協会の山﨑嘉都夫常務理事は「今年度は、ほぼ前年度並みで推移すると見込まれる」と報告した。
宮崎県のインテの出荷実績・見通しは、上期が1.2%増の8062万6000羽、下期が2.0%増の8304万羽で、年度合計はで1.6%増の1億6366万6000羽。宮崎県養鶏協会の古澤邦夫専務理事は「下期の1月と2月の伸び率が高く見えるのは、昨年度の鳥インフルエンザ発生で出荷羽数が減少したことの影響と思われる。年度合計でも増える見込みだが、県内の農場数がやや増加していることや、今年8月の熱死事故が雨天により少なかったことが影響していると思われる」と報告した。
岩手県・青森県のインテの出荷実績・見通しは、上期が2.4%増の1億630万8000羽、下期が1.0%増の1億879万8000羽で、年度合計では1.7%増の2億1510万6000羽となっている。岩手県チキン協同組合の杉原永康常務理事は「昨年度の冬は寒かったため、大腸菌症などによる廃棄率が若干増えた傾向があった」と報告した。