中旬から下押しに、生産回復も販売不振続く 10月鶏卵相場

10月の鶏卵相場(全農M基準)は、前半はもちあいを維持したものの、大阪で11日に5円、東京で14日に10円下落。各地で荷余り傾向が聞かれるようになっている。10月の下押しは近年では少ないが、過去には2001~02年、04~05年、08~10年などに一定の秋のパターンとして表れている。

今秋の下落要因は、供給面でAI被害からの羽数の回復や卵重の増加の本格化。需要面で緊急事態宣言解除や週末の秋晴れが家庭調理の機会減少につながり、これまで消費をけん引してきた巣ごもり需要が縮小したことなどが指摘されている。

業務・外食需要についても、「月見」キャンペーンの好調を除くと、宣言解除前の一時的な在庫確保の動きがみられたのみで、居酒屋などの営業時間拡大や酒類の提供再開は、卵の消費増にはつながっていない。

要因として、経営維持のため既にランチや持ち帰り対応などを含めて営業を継続していた店舗が多いほか、観光・行楽需要は元に戻っておらず、ホテルのバイキングなど卵を多用する提供スタイルも依然、控えられていることなどが挙げられている。

加工関係も同様で、お土産用の菓子需要が回復せず、コンビニのおでんも食品ロス削減や感染対策のためレトルトパックでの提供が増えたことで、一昨年までのような活況がみられない状況。

今後については、AIなどへの警戒で緊張感が続く中、気温の低下とともに年末には例年のような一定程度の需要増が期待されている。

年明け以降は、飼料価格の高止まりが予想される中、生産の回復に見合った需要の増加要因があるのかどうかによって、鶏卵価格の動向も不透明になると心配されている。