サラダチキンの消費動向 国産多いがタイ産も増加

農畜産業振興機構が調査 味や低価格にも期待

(独)農畜産業振興機構は8月14日、鶏肉調製品の中でも特に需要が伸びているサラダチキンについて、消費者行動や意識などを小売店のPOSシステム(販売時点情報管理)データとインターネットアンケートを通じて調査し、平成29年度鶏肉調製品の消費実態調査として公表した。

近年は消費者の簡便化志向などにより、鶏肉調製品を用いた弁当・総菜などの商品が増えて、鶏肉の加工仕向量や鶏肉調製品の輸入量が増加し、鶏肉需給に与える影響も年々大きくなっている。

なかでも、主に蒸した鶏むね肉を使ったサラダチキンは、消費者の健康志向も相まって急成長し、鶏むね肉価格の堅調な推移の一因とされている。

小売店のPOSシステムデータからサラダチキンの消費動向をみると、2013年の販売店率は27%だったが、2015年以降は取扱店が右肩上がりで増加。15年62%、16年80%、17年97%となり、これに応じて販売金額も急増。17年は15年の2.6倍になっている。

サラダチキンの原産国(金額ベース比較)をみると、15年まではほぼ国産であったが、16年にタイ産が出現して30%以上を占め、17年には44%まで拡大している。

アイテム数は国産が多く、13年の11商品から17年には28商品に増え、タイ産も16年の3商品から17年には14商品に増えた。

平均価格は国産が高く、17年は1個244円。タイ産は同187円で、タイ産のシェア拡大とともに全体の平均価格も214円に下がっている。

販売金額は夏場にピークを迎える傾向がある。これは、夏場は火を使った調理を避けたり、調理の手間を省いたりする動きに加え、薄着になる機会が多いため、ダイエット目的の需要が増えるのも一因とみられる。

独身者・単身者、既婚共働き世帯、専業主婦のサラダチキン購入者を対象としたアンケートによると、購入頻度は独身者・単身者、既婚共働き世帯は「1か月に1回程度」「2~3か月に1回程度」の割合が高く、月1回以上買っている人の合計はともに62%を占める。専業主婦の月1回以上の合計は47%で、他の家族形態より購入頻度は少ない。

購入場所はコンビニエンスストア、食品スーパー、総合スーパーがほとんどで、独身者・単身者の7割がコンビニエンスストアで購入していた。

購入理由は「味が好きだから」のほかに、「すぐに食べられるから」「調理の手間が省けるから」などの簡便性に関する項目も上位になった。

サラダチキンの食べ方は、独身者・単身者は「そのまま食べる」の割合が最も多かったが、既婚共働き世帯と専業主婦は「サラダに入れて食べる」が最も多かった。

食べるタイミングとして最も多かったのは「夕食」で、次いで「昼食」となった。

サラダチキンの鶏肉の原産国については、いずれの家族形態も7割以上が国産を「積極的に買いたい」と回答し、国産の購入意向ありの割合はほぼ100%。タイ産の購入意向ありの割合は6~7割、ブラジル産は5~6割、中国産は1~3割だった。

購入頻度の変化については、どの家族形態も1年前に比べ購入頻度が「増えた」「やや増えた」の割合は半数を超え、3年前と比べると「増えた」「やや増えた」の割合は6割以上を占めた。

今後の購入頻度は、いずれの家族形態も「増やしたい」が4割台、「変わらないと思う」が約5割で最も多く、「減らしたい」との回答はほとんどなかった。

今後のサラダチキンに期待する点では「味(フレーバー)の種類の拡充」と「値下げや低価格商品の拡充」の2項目がそれぞれ3割程度の回答を集めた。