『卵内ヒナ』の性別をふ化前に目の色で判断 徳島大学の竹本龍也教授らが新手法
徳島大学先端酵素学研究所・発生生物学分野の竹本龍也教授と、徳島大学発ベンチャー企業の㈱セツロテック(竹澤慎一郎社長―本社・徳島市蔵本町)らは、ゲノム編集技術を活用した鳥類の卵の雌雄判別方法を開発し、日本国内での特許を取得した【図表参照/特許第7493194号】。
この新手法は、鳥類の性染色体であるZ染色体上の網膜色素関連遺伝子に、非遺伝子組み換え型のゲノム編集を施して、発生中の鳥類胚の色素網膜(目の色)の違いで雌雄判別するというもの。
ニワトリの場合、最短で孵卵7日目の時点で、オス胚が『黒色の目』、 メス胚が『無色透明の目』となり、その差を容易に見分けられる。
目の色の違いは、暗所で卵殻の外からLEDライトなどを照射し、殻を透過した光によって光学的に検出可能。卵殻を割ることなく雌雄を判別できる。
新手法を採卵養鶏に活用すれば、オスひなとなる卵を事前に選別でき、殺処分をせずにメスひなのみを生産できる。またメス胚の目は無色透明だが、成長後のニワトリでは野生型ニワトリと同様の色となり、健康に成長・産卵可能であることも確認されているという。
徳島大学では、新手法が実用化されればオスひなの処分問題が解決し、アニマルウェルフェア推進に貢献することが可能になるとしている。
さらに竹本教授によると、ゲノムの構成上、採卵鶏の各鶏種に限らず、鳥類であればすべて新手法を使える可能性があるとのこと。また、実用化の時期については「簡単には言えないが5年後くらいを目指している。大学というよりはセツロテックでの実用化を目指すイメージ。今後は、他の鳥類でも応用可能であるかを試験し、検卵装置のような高効率・高精度の機器で一気に判別できるように技術を進化させたい」と話している。