「最上どり」のアイオイに日本農林漁業振興会会長賞 令和元年度農林水産祭
農林水産省と(公財)日本農林漁業振興会は10月18日、令和元年度(第58回)農林水産祭の天皇杯などの受賞者を発表した。
天皇杯と内閣総理大臣賞、日本農林漁業振興会会長賞は、過去1年間(平成30年8月~令和元年6月)の農林水産祭参加表彰行事(277件)で農林水産大臣賞を受賞した466点の中から決定。各賞は農産・蚕糸、園芸、畜産、林産、水産、多角化経営、むらづくりの7部門に授与されるほか、女性の活躍が著しい2点には、内閣総理大臣賞と日本農林漁業振興会会長賞が授与される。
養鶏関係では「最上どり」のブランド名で鶏肉を生産・販売する㈱アイオイ(五十嵐忠一社長―山形県鮭川村)が日本農林漁業振興会会長賞を受賞した。表彰は11月14日に、明治神宮会館で開催される農林水産祭式典で行なわれる。
㈱アイオイの受賞理由は「環境にやさしい飼養管理による鶏肉生産と耕畜連携・循環型農業を実践」。
昭和54年からブロイラー経営を行なってきた五十嵐忠一氏は、平成18年に㈱アイオイを設立した後、徐々に飼育羽数を増羽し、平成30年11月時点の飼育羽数は約15万羽、年間出荷羽数は90万羽。山形県内では最大、南東北地域でもトップクラスの規模を誇る。
全自動ウインドレス鶏舎を用いて、コンピューター制御による効率的な鶏の飼育を行なっているほか、モニターによる鶏舎内の常時監視、農場HACCPの導入、自社所有の飼料運搬車の利用などにより、衛生的にも優れた飼養管理を行なっている。さらに鶏舎内の給温や消毒後の鶏舎内乾燥には、鶏糞を燃料とする鶏糞温水ボイラーを使い、化石燃料の使用量削減と環境負荷の低減を図っている。
さらに飼料用米の利用を積極的に進めており、鶏糞温水ボイラーの焼却灰を特殊肥料として、自社が購入する飼料用米の生産農家に供給している。また従来、粉状で供給していた焼却灰の粉塵飛散を防止して使用農家の利便性を図るために造粒装置を導入するなど、耕畜連携・循環型農業の推進に努めている。
今後の発展方向については「飼育羽数を増やす予定しており、鶏肉の出荷先も安定していることから、効率的な経営がより期待できると思われる。また、自社生産の鶏肉の直売所を併設した鶏肉加工施設の新設が計画されており、飼育羽数の増加に伴う雇用数の増加と併せて、地方雇用の創出も期待できる」などと評価されている。