「ウズラの生卵」全国的に供給不足 ウズラ生産農家に新たな試練

新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言が10月1日から解除され、これまで大きな影響を受けていた業務・外食需要も徐々に回復の兆しがみえてきたようだが、「ウズラの生卵」は全国的に供給が不足。生産農家は注文量に応じることができず「お客様に供給に応じられない理由を説明しても納得してもらえず、逆にお叱りをいただいて、ウズラ業界全体が混乱している」という。

新型コロナの影響を受けて、ウズラの生卵の大きな需要先であった外食産業の需要が減少し、多くの生産農家では、2~3割の減産を余儀なくされたとのこと。ウズラ用飼料の出荷量は、令和元年が前年比3.4%減、令和2年が4.7%減と2年連続で減少し、令和3年も上半期(1~6月)が1.4%減、7月が15.9%減、8月が2.1%減、9月が0.1%減となっている。

さらに配合飼料価格は平成30年から令和3年までの4年間に全畜種総平均で1万5050円値上がりしているが(JA全農の改定額)、ウズラ用飼料はさらに3000円以上値上がりしているとのことで、コスト上昇が生産農家の経営を圧迫している。

こうした中、緊急事態宣言が解除され、外食産業からの注文量が戻り始めたことは、本来はウズラ業界に追い風となるところだが、減産の影響によって供給が追いつかないというジレンマを抱えている。

ウズラの生産農家らで構成する日本養鶉協会の本木裕一朗会長は「これほどの急回復を予見し、増羽の賭けに出ていた生産者はいない。今は新型コロナの感染者数は少なくなっているが、仮に再拡大し、緊急事態宣言が再び発動される可能性もないわけではなく、そうなれば高価な飼料を食べさせたウズラ卵の行き先がなくなる」と話しており、ウズラ卵の相場が据え置きのまま推移する中で繁忙期を控え、生産農家は生産量を上回る注文への対応という新たな試練に頭を抱えている。