<連載コラム企画>たまご知識普及会議のたまごと戦略(第一話) 目から鱗のコミュニケーション戦略
日本養鶏協会/国産鶏卵に関する普及啓発問題検討会
日本卵業協会
齋藤大天
●たまご知識普及会議発足
2018年、業界の垣根を越えて消費者へ鶏卵の正しい知識普及活動を推進していくための具体的な取り組みを検討実施するたまご知識普及会議(旧・鶏卵知識普及会議)が発足しました。「業界内でばらばらに行っているたまごの知識普及や消費拡大運動を、みんなが協働で一丸となって行えば、たまごの良さはもっと伝わるはず。」そんな思いを抱いていた私にとっては、まさに待ってましたの会の発足でした。
早速たまご知識普及会議に参画し、様々な課題の棚卸を始めました。中でも、最も大きな課題と捉える意見が多かったのは、コレステロールに対する過剰な心配からたまごの消費が伸び悩んでいることでした。コレステロール由来のたまごに対する消費者のネガティブ意識をどのように払しょくするか、毎回の会議において議論を重ねていきました。独学だけでなく、専門家や異業種の方々からも意見を伺いました。日々この課題が頭から離れず悶々としていた時に、ある戦略との出会いがありました。
●逆転の発想「LOVE over HATE」
手抜きメニューの象徴となっていたシリアル市場をカルビーが人気の第三の朝食として大きな市場に塗り替えていった戦略や、鶏肉偽装問題後に業績が急激に落ち込んだマクドナルドがV字回復を果たした戦略。両者には共通した戦略の考え方があったというのです。
それは、ネガティブな意識を変えるためには、決してネガティブな意識を是正することに注力してはいけない。それではさらなるネガティブ意識の増幅を招くことになってしまう。手抜きメニューと言われたシリアルに対して、「決して手抜きメニューではありません、なぜなら・・・」と反論を繰り返しても、手抜きであることが強調されるだけなのです。「私たちの商品全てが鶏肉を偽装しているわけではありません」と繰り返し繰り返し説明しても結果は同じです。だから、好意を持ってもらえるようなポジティブな情報を見つけ出し、嫌悪の意識が薄らいでいくほど、より多く伝搬することが大切だというのです。
この考え方は、「LOVE over HATE」というPR戦略の考え方でした。私にとっては、目から鱗でした。
早速たまご知識普及会議において、この戦略についてメンバーと議論しました。そして、たまごとコレステロールの正しい知識を啓発し、ネガティブ意識を払しょくすることから一旦離れ、多くの消費者が好意を抱いてくれるポジティブ情報の開発に注力することになったのです。
【次回10月5日号掲載予定】
*(一社)日本養鶏協会・国産鶏卵に関する普及啓発問題検討委員会と、(一社)日本卵業協会、JA全農たまご株式会社、キユーピータマゴ株式会社の代表が集まり発足。(一社)日本卵業協会が事務局を担当。