飼養衛生管理基準や指針改正 家畜衛生部会答申

大規模農場(鶏10万羽以上) 畜舎ごとに管理者配置

農林水産省は8月24日に食料・農業・農村政策審議会の第53回家畜衛生部会を開き、家畜伝染病予防法施行規則の改正案、飼養衛生管理指導等指針の変更案、特定家畜伝染病防疫指針の一部変更案を了承し、答申した。令和2年度シーズンに発生した過去最大規模の高病原性鳥インフルエンザと、ワクチン接種農場での豚熱を受けて飼養衛生管理基準や特定家畜伝染病防疫指針などを見直すもので、9月末の改正を予定している。

飼養衛生管理基準の改正では、大規模農場(鶏・ウズラは10万羽以上)には畜舎ごとに担当の飼養衛生管理者の配置を義務付ける。1人が複数の家きん舎を担当する場合、鶏・ウズラでは合計10万羽を上限とする。

家畜の頭羽数が多く、殺処分などに多大な時間を要すると都道府県知事が認める家畜所有者には対応計画の策定を求める。また、埋却地や焼却施設の確保を求め、困難な場合は代替として埋却・焼却・化製について都道府県が求める取り組みを実施する。

飼養衛生管理指導等指針の改正では、都道府県に対し、家畜所有者による埋却地の確保が困難な場合のセーフティネット(焼却施設との事前協定締結、移動式レンダリング装置の活用準備、周辺住民の理解醸成など)を家畜所有者と共同で対応することを求める。埋却地の確保や指導計画の見直しには地域協議会なども活用する。

家きんの所有者が毎年実施する措置として、飼養衛生管理基準の順守に関する一斉点検を加えるほか、補助事業や制度資金を受ける際に飼養衛生管理基準の順守を要件とするクロスコンプライアンスの導入を推進する。命令違反時は都道府県が原則公表する。

鳥インフルエンザ防疫指針の改正では、発生に備えた都道府県の取り組みとして、都道府県内の最大規模の農場での発生を想定して動員計画と調達計画を策定し、国への報告を求める。

その際、都道府県を挙げた動員体制とし、事前に関係者との合意形成を図る。都道府県内からの動員のみでは防疫措置の実施が困難な場合は農林水産省や他の都道府県などからの派遣、さらに困難な場合は自衛隊への派遣要請について事前に動物衛生課と調整する。

都道府県は、家きんの所有者に対し埋却地などの事前確保と、周辺住民の理解醸成に向けた取り組みを実施するよう指導する。取り組みが不十分な場合は焼却施設などを管轄する都道府県、市町村などと調整し、可能な限り防疫協定の締結を進めるとともに、家きん所有者に対して必要な取り組みを求める。

また、発生農場と発生農場周囲1キロメートル以内の区域に位置する農場での小型野生動物への対策を実施する。