H5N8亜型はヨーロッパ由来 動物衛生研究部門
農研機構動物衛生研究部門は11月25日、香川県で発生した1~2例目の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の原因ウイルスの全ゲノムを解析した結果、昨冬にヨーロッパで流行したH5N8亜型のHPAIウイルスが、今秋に渡り鳥と共に大陸を渡って日本に侵入したと考えられると発表した。
香川県の1~2例目の採卵鶏農場の死亡鶏から検出されたA型インフルエンザウイルス(香川1株、香川2株)は共にH5N8亜型で、香川1株、香川2株の全ゲノム配列を解読し、その8本の遺伝子分節について既知のA型インフルエンザウイルスと比較したところ、すべての遺伝子分節が、昨冬ヨーロッパで流行したH5N8亜型のHPAIウイルスと近縁(98.4%以上)であることが分かった。
さらにこの2つの株は10月に北海道の野鳥糞便から分離されたH5N8亜型のHPAIウイルスとも、8本すべての遺伝子分節の相同性が高く(99.1%以上)、「渡り鳥が国内に持ち込んだウイルスにより、家きんで発生を引き起こしたと考えられる」とした。
同ウイルスの推定アミノ酸配列には、抗ウイルス剤であるノイラミニダーゼ阻害剤と、ウイルスRNAポリメラーゼ阻害薬に対する耐性変異はみられなかった。また、ほ乳類に対する感染性を増加させるような既知のアミノ酸変異も認められなかった。
農研機構動物衛生研究部門では今後、同ウイルスの家きんへの感染性、ウイルス排せつなどを精査していく予定。