オヤマで食育交流事業 岩手県チキン協同組合

「食べることは生きること」学ぶ

アタゴノーサンではヒヨコが傷つかないよう優しく手のひらに乗せた

オヤマ本社工場で鶏肉のカットや包装工程などを見学

岩手県チキン協同組合(十文字保雄理事長)は毎年、安全・安心でおいしく、安定供給が自慢の『岩手のチキン』について小学生が学ぶ機会を提供している。9月の㈱阿部繁孝商店に続き、10月8日には㈱オヤマ(小山征男社長―本社・岩手県一関市室根町)が食育に協力。室根東小の5年生13人に、楽しみながら学べる機会を提供した。

今回の食育交流では、まずは肥育現場を知ってもらおうとアタゴノーサン(オヤマ委託農場)に招待。千葉孝一農場長は白衣・キャップ・靴カバーを着用して手指を洗った子どもたちに「ここで一番に心掛けているのは鶏舎消毒の徹底です。その上で安全でおいしいニワトリに育てないと、消費者からは認めてもらえません。3人で9棟(9万羽飼養)を管理し、一人ひとりが責任を持って取り組んでいます。40年ほど続けてきましたが、良い飼い方(飼養管理)には技術の引き継ぎが大切で、エサの与え方などを後輩たちに教えているのですよ」などと述べた。

衛生対策を万全にし、特別にヒヨコに触れさせてもらった子どもからは「かわいい」「モフモフだ」と喜びの声が上がった。

続いてオヤマ本社工場に移動し、小山雅也専務が同工場では約200人が働き、1日3万3000羽程度を加工・出荷していると紹介。会社の全従業員数は約620人に上ることも伝え「労働環境にも気を配り、皆が安全第一で作業しています」と話した。

生徒は熱心にメモを取りながら、同社の銘柄鶏肉『いわいどり』の各部位や、数多くの出荷先には有名企業も含まれることを学習。その後は2班に分かれて順番に作業場に入り、鶏肉を切り分けたり、袋詰めしたりする様子を見学。「こんなに丁寧に切っていることを初めて知った」「(骨を残さないための)二重チェックが大変そう」との感想が聞かれた。

また、いわいどりを使った『室根からあげ』が2018年の「からあげフェスティバルNo.1決定戦」(主催=〈一社〉日本唐揚協会)で初代日本一したと知ると、感嘆の声が…。試食時は衣に包まれた鶏肉の〝プリプリ感〟や、あふれ出る肉汁に感動する子も多かった。

学校に戻ってからも、入念に手洗い。新型コロナウイルス対策として、机の配置に気を配って開かれた昼食会では小原純子校長が「食べることは生きること。今日の学びを今後の人生に役立ててほしい」と語りかけた。

小山専務は「今回の体験を通じて、岩手の鶏肉に興味を持ってくれればうれしい。私の目標は、鶏肉を使った名物や特産品を生み出して、皆にとって身近な『食文化』を作り出すことです」とのメッセージを発信。

給食のメインは『いわいどりのハニーマスタード焼き』で、生徒も先生も「肉がもちもち」と大満足。全員がチキンを通じて笑顔になり、食育交流事業を終えた。

岩手県チキン協同組合の杉原永康常務は会員企業の協力に感謝した上で「今年で12年目の本事業は評判が良く、今回、地元紙の記者からも『この事業は素晴らしく、子どもたちのためにも続けてほしい』との言葉を受けた。岩手の鶏肉出荷量は全国3位であり、10月29日の岩手とり肉の日・国産とり肉の日には県内の全小中学校で鶏肉を食べてもらう予定」と話していた。