畜舎の建築基準緩和 2回目の会合開く

畜産生産者、建築専門家の双方の立場から様々な意見が出された

農林水産省は3月3日に「新たな畜舎建築基準等のあり方に関する検討委員会」の2回目の会合を開いた。

事務局が説明した新制度のあり方では「今回の畜舎建築基準の見直しでは、建築コストを下げて工期を短くすることを通じて、新技術の導入による省力化などがよりしやすくなり、経営全体のコスト削減につなげることができれば政策上の意味がある。畜産振興の観点から、意欲ある畜産経営者が畜舎内での作業時間を低減させるような利用計画を作成し、それを守ることを条件に建築基準法の外で、新たな制度による畜舎の建築も可能となるように措置したい」とした。

対象とすべき畜舎の規模については「例えば平屋の畜舎について、新たな制度の対象となる高さ・開口部の大きさ・延べ床面積の基準の設定や、手続きの簡素化、最低限求められる構造などについて検討できるのではないか」とし、畜舎のエリアについては「市街化区域のほか、用途地域などは新制度の対象外とする。これまでと同様、居室など人が恒常的に立ち入る部屋は設けない。凍結深度など、地域によって特別な指定が必要なものは、地域別に基準を設ける」などの考え方を示した。

委員からは「畜産経営を継続できるように、ダイナミックな改革をお願いしたい」「畜舎が大型化しているため、現在の間口、軒高、棟高の基準が緩和されるとありがたい。消防法の捉え方が各県や市町村で異なるため、統一した見解を国として出してほしい」「建築確認と完了検査が不要な延べ床面積の基準については木造、鉄骨の両方とも1000平方メートル以下を希望する」「畜舎の建築基準を緩和しても、地震や雪などの天候にかかわる部分で、ある程度保証できるラインをきちんと示さないと、結果的には誰も使えないのではないか」「総論としては賛成だが、迅速に審査できる枠組みをはっきりさせる必要がある」「畜舎の建築基準を緩和しても、建設コストは必ずしも安くならない。職人不足で建設労働者に関するコストはますます上がっているため、有効なコスト削減策を議論すべきではないか」「畜舎の間口や高さなどの基準を外すことは問題ないと思うが、建築基準法の根底にある耐震性能や台風、構造の数学的な基準をこれ以上緩和することは難しい。構造基準に関する論点は相当慎重にやらないと、将来に禍根を残すのではないかと危惧している」などの意見が出された。

次回は3月23日の開催を予定している。