梅雨入りで消費も停滞 鶏卵相場 基準価格割れ寸前
北海道を除く日本全国が梅雨入りし、消費も停滞する中で、鶏卵相場は価格差補てんの基準価格(月間189円)に近づいている。6月中は弱もちあい圏内の推移が見込まれているが、気温の上昇する7月には、さらに一段安に向かうとみられている。
6月に入り、関東以西が梅雨入りしたのに続き、13日には東北も入梅し、これに合わせるように卵価(M加重)は各地で下落。20日現在、東京で195円、大阪と名古屋で200円、福岡で190円となっている。
鶏卵生産者経営安定対策事業の平成28年度補てん基準価格は月間189円だが、6月17日の標準取引価格は191円で補てん基準価格割れ寸前。
関係者によると、6月の鶏卵需給は、生産量はそれほど増加していないが、売れ行きが落ちているとの声が多い。スーパーなど小売関係は、積極的な特売が展開された5月に比べると伸び悩みがみられ、外食関係も大手ファストフードチェーンのプロモーションが下支えとなったものの、それを除けば停滞気味のもよう。大型連休などのイベントも一段落し、牛丼チェーンでは卵の持ち帰り禁止が始まった。
ただ、加工筋はスポット需要は少ないものの、安定的な集荷や割卵を続けており、相場の下支え要因となっている。赤玉は依然、不足気味。ファストフードチェーンでは、卵を使った朝食メニューも豊富で、これらの支えによって5円の下げ幅にとどまっているもの。
九州では、円高や熊本地震の打撃により、インバウンド需要が悪化しているが、鶏卵需給に関しては震災による生産減に加えて関西圏の引き合いもあるため、西日本全体としてみると、それほど強い余剰感は出ていない。
今後の需給については、今年はリオデジャネイロオリンピック(8月5~21日)を控え、日本代表の試合や壮行会など“家飲み需要”や“巣ごもり需要”が高まる場面が増えるため、外食にはマイナス、中食と内食にはプラスの要因になるとみられている。
当面の需給環境では、6月中の相場は何とかもちあい圏内で推移するのではとみられているが、7月には大手ファストフードチェーンのプロモーションが終わり、気温も一層上昇するため、例年通り本格的に夏の底値を探る動きに移るとみられている。