鶏卵は上昇後、連休明けに下げへ
3月の鶏卵相場(全農M加重)は東京・大阪・福岡で10円、名古屋で5円上昇し、月間平均は東京が前年同月比2円高の217円、名古屋が1円安の219円、大阪・福岡が7円安の各213円、203円となった。
昨年の「西高東低」から一転し、東日本が相場を引っ張っているが、展開と水準は過去2年間とほぼ同じで、2~3月に下押しする従来の「春相場」が消失している。
今年の〝東高西低〟と〝春相場消失〟の要因については、生産面では東日本でのAI発生の影響が指摘されているほか、「鶏舎の増改築による一時減」や「疾病による産卵率低下」などが挙げられている。このため、昨年の生産量も統計上は「1.6%増の256万トン」となっているが、「実際の量はそれほど増えていないのでは」との指摘も多く聞かれている。
需要面の要因としては、消費者の「節約」「健康」「簡便」志向に伴う需要増が挙がる。特に加工卵のメーカーは、需要が増える中で、より安定した製品供給を確保するため在庫を増やしており、市場全体でベースとしてストックされている加工用原料卵が増えているとされる。加工需要に比べると鈍いとされる家計消費も、昨年は前年比5.2%増の1人当たり10.408キログラムとなった。
今春の鶏卵需要については、小売り関係では「売れていない」との声があるほか、東日本を中心に液卵メーカーの競争激化で液卵の販売価格も低迷しているものの、量販店の特売や大手外食のプロモーションなどに加え、旺盛な加工需要がけん引役になっている。
花見シーズン真っ盛りの中、行楽需要も控え、加工筋からはコンビニのゆで卵や総菜向けに中小玉の積極的な手当てがみられるほか、業務筋も好調との声が聞かれる。これにより相場は4月7日に小玉を中心に各地で上昇し、MSがMを全国で上回り、11、12日にも各地で中小玉が上昇した。
サイズ間では、「小玉中心に余剰玉が出ない」との印象が多くの関係者で強い一方、生産の〝小玉シフト〟で一部の産地や問屋からは「2Lなど大玉需要への対応が徐々に難しくなっている」との指摘も聞かれる。
輸入卵は、非常に安くなっている米国産の輸入が大幅に増えているが、他国産が減っているため、1~2月累計の殻付換算輸入量は、前年同期を3.7%下回っている。
これらの要因から、4月後半の相場は上昇基調で推移し、連休後は例年同様、下げに転じて、夏相場へと向かう展開が予想されている。