各国の鶏卵価格と飼養方法など マージン率が高い欧米諸国 IEC年次統計より(2)

IECエディンバラ会議で公表された『2014年IECアニュアルレビュー』(年次統計)から、各国の鶏卵農家販売価格と小売価格、採卵鶏飼養羽数、飼養形態などをまとめた。

農家販売価格と小売価格

IECアニュアルレビューでは、IEC加盟国のレポーターが採卵鶏の飼養羽数や飼養システム、鶏卵の生産量、国内自給率、貿易量、市場取引価格などを報告している。14年版では世界33か国から報告が寄せられた。
いくつかの国のレポーターは、鶏卵(ケージ卵1ダース)当たりの平均的な農家販売価格と小売価格も報告している。
日本の農家販売価格と小売価格は、1キログラム単位や10個単位の価格を1ダース単位に直しているとみられ、ドルへの換算レートも、円高傾向が強かった12年は1ドル=79.78円、円安に転じた13年は同97.71円で換算しているため、ドルベースでは13年の価格が下がっている。
卵の価格が世界で最も高いとされるのはスイスで、農家販売価格が2.97ドル、小売価格が7.58ドル。ただ、同国はすでにケージ飼養を廃止しているため、平飼い卵などの価格とみられる。これまでのIECレポートによると、スイスの消費者は国内産の卵に愛着を持っているものの、必ずしも消費行動には結びつかず、テーブルエッグ向けにも欧州の他の国々からより安価な非ケージ卵が入っているとのこと。今回報告(13年)の殻付卵輸入量は3万40トン、液卵輸入量は7068トン、粉卵輸入量は887トン。鶏卵の国内自給率は56%で前年より2ポイント上昇したものの、消費量の約半分を輸入に依存する状況が続いている。
卵の価格が最も安いのはインドで、農家販売価格は0.68ドル。小売価格は0.78ドルで、日本の小売価格の3割未満(31%)にとどまる。
掲載国の中では、中国とイランの小売価格も、日本の価格の半分以下(それぞれ日本の価格の44%、48%)と非常に安く、ハンガリー(同62%)とメキシコ(同66%)、米国・トルコ(同75%)も安い。小売価格と農家販売価格の差が大きいほど、流通や小売りのマージンが大きいことになるが、小売価格が農家販売価格の2倍以上高い国は、オランダ(3.08倍)、スイス(2.55倍)、デンマーク(2.45倍)、英国(2.40倍)、米国・キプロス(2.22倍)、スペイン(2.04倍)。以下、南アフリカ(1.92倍)、ハンガリー(1.74倍)、日本(1.70倍)の順。反対に、インドと中国、イランの小売価格は、農家販売価格の1.15倍程度にとどまっている。

採卵鶏飼養羽数と飼養形態など

採卵鶏飼養羽数が最も多いのは中国で、レポーターのウェイン・リュウ氏(サノボグループのオボダン・フーズ経営責任者)は14億羽(人口は13億5000万人)と報告している。2位は米国の2億9110万羽(人口は3億1490万人)。3位はインドの2億1083万羽(人口は12億3200万人)。日本は33か国のなかで5番目の鶏卵生産国となっている。
飼養形態は、北欧や西欧では平飼い、放し飼いの割合の高さが目立つが、東欧や南欧、アジア、南北アメリカなどでは依然、ケージ飼養の割合が最も高い。

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