大雪被害に支援策 農水省
農林水産省は2月24日、関東甲信と東北の記録的な大雪で被災した農業者への支援策を決めた。
対策の内容は(1)災害関連資金の無利子化(日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金などの災害関連資金の貸付利子を、貸付当初5年間は無利子とする)(2)農業用ハウスなどの再建・修繕への助成(農業用ハウス・棚などの再建・修繕および再建の前提となる倒壊したハウスなどの撤去に要する経費への助成で、倒壊した鶏舎も「など」に含まれる)(3)共同利用施設への助成(雪害を受けた産地に対し、別枠で集出荷貯蔵施設など共同施設の整備を「強い農業づくり交付金」で優先的に支援する)(4)果樹の改植への助成)(5)被災農業法人などの雇用の維持のための支援――で、被害状況の実態がさらに把握されれば追加対策も検討する。
支援策の補助を受けるには、施設の被害状況や費用の額などがわかるメモ、写真などが必要で、再建・補修した際は納品書・請求書などの書類が必要になる。畜産の被害に対しては(1)~(3)が当てはまるとされるが、各県の担当部局や、農水省の経営局災害対策総合対策室などに問い合わせを。
農業被害額は、2月24日現在、群馬県は247億6200万円で、うち農業用施設(園芸用ハウス、畜舎・堆肥舎、きのこ栽培施設など)は92億3200万円、家畜(牛、豚、鶏、牛乳など)は2億3500万円。埼玉県は229億円で、うち畜舎・堆肥舎などは19億2000万円、家畜の斃死などは2億2000万円(鶏1億2000万円、牛9000万円、豚200万円)など。その他の県での確認が進めば、被害総額はさらに増えるとみられる。
鶏舎倒壊、懸命の撤去作業
関東甲信と東北の大雪で、鶏舎の倒壊などが多くみられたが、埼玉県毛呂山町にある㈱生活クラブたまご坂戸農場(毛呂山町)では全7棟のうち4棟(約4万羽)のノコギリ型平屋鶏舎が倒壊した。14日の夕方には農場長らが屋根の雪かきを行なったにもかかわらず、水を含んだ積雪の重みに耐えられなかったもの。
同場では、重機を入れて屋根を剥がし、取引先などから応援に駆けつけた人も手伝って、潰れたケージから鶏を出していた【写真下】。
吉野訓史専務は25日、「残る3鶏舎(約3万5000羽)と被害のなかった岡部農場(約17万羽)で卵を生活クラブ連合会に出荷しているが、損害額は、卵の価値を考慮しない鶏だけの価値で約2400万円、撤去費用などを含めると約4500万円になる。倒壊した鶏舎は新築したいが、国や県の支援も希望する」と訴えている。