「TPPへの参加反対」訴え 食・くらし・いのち守る全国集会

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加をめぐる議論が大詰めを迎えているが、参加に反対する全国決起集会が10月26日、東京の日比谷野外音楽堂で開かれ、農業者や消費者、医療関係者ら約3000人が出席して交渉参加反対を訴え、集会後は都内をデモ行進した。

「TPP交渉参加に反対し、日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会」は、全国農業協同組合中央会、全国農業会議所、全国漁業協同組合連合会、全国森林組合連合会、生活クラブ事業連合会生活協同組合連合会、大地を守る会、(社)大日本水産会、パルシステム生活協同組合連合会、(社)中央酪農会議などが主催した。JA全中の萬歳章会長が、今年1月からTPPに懸念を有する農林水産団体や消費者団体が、国民各界・各層と連携して『TPP交渉参加反対1千万署名全国運動』を展開し、1166万8809人の反対署名が寄せられたことや、国会請願の紹介議員が衆参で356人になったことなどを紹介し、「交渉参加反対は国民の民意」だとして参加阻止への決意を表明した。
日本医師会の中川俊男副会長が、日本の国民皆保険制度を中心とした公平な医療の提供もできなくなるとの強い懸念を表明し、「日本の食と食文化を守ることが国民の健康を増進し、豊かな社会につながる」と連帯のエールを送った。
生活クラブ生協連合会の加藤好一会長、全漁連の服部郁弘会長、全森連の林正博会長、JA全国女性協の瀬良静香会長、中央大学の久野修慈理事長、東京大学大学院の鈴木宣弘教授が決意表明を行ない、TPPへの参加を厳しく批判した。
各党から出席した多数の国会議員を代表してあいさつした民主党農水部門会議の郡司彰座長は「交渉参加を拙速に判断しないように対応したい」とし、国民新党の亀井静香代表、自民党の大島理森副総裁、公明党農水部会の石田祝稔部会長、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首らは交渉参加への反対姿勢を示し、前のめりになっている政府の姿勢を批判した。

TPP交渉参加反対を鹿野農相らに要請日本の畜産ネットワーク

TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する畜産関係などの102団体で組織する「日本の畜産ネットワーク」(事務局・(社)中央畜産会内、日本養鶏協会や日本食鳥協会も参加)は、今年2月の設立以降、各種の反対運動を展開し、15万人を超える署名が集まったことから、10月19日に鹿野道彦農相や輿石東民主党幹事長、鉢呂吉雄同党経済連携PT座長にTPP交渉への参加反対を要請した。
TPPは、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ニュージーランド、オーストラリア、米国、チリ、ペルーの9か国が貿易や投資、人の移動など幅広い分野での自由化を目指して交渉しているもの。政府は、11月12、13日にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議でTPP参加の意思表示したいとして、取りまとめに入っている。
農林水産省が試算した輸入関税を全廃した場合の影響結果では、わが国の農林水産物の生産額は4兆5000億円減少し、40%の食料自給率は13%に下落するほか、農業の多面的機能や就業機会の減少など、大きな影響を受けるとしている。畜産生産全体でも国内生産額は1兆7000億円減少するとし、鶏肉や鶏卵は、業務・加工用の5割が輸入品に置き換わるため、国内生産額は鶏肉で20%、1900億円、鶏卵で17.5%、1500億円の生産額が減少するとしている。
【TPP交渉への参加反対を決議した全国集会(東京・日比谷野外音楽堂で)】

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