ハエ成虫駆除用殺虫剤「アジタ」 ノバルティスアニマルヘルスが発売
ノバルティスアニマルヘルス(株)(マーティン・アームストロング社長―本社・東京都港区西麻布4―12―24)は、農林水産省から6月8日付で承認を得たハエ成虫駆除用殺虫剤『アジタ』【写真】の発売記念セミナーを、7月13日に東京都品川区の御殿山ガーデンホテルラフォーレ東京、14日に岡山市北区のリーセントカルチャーホテル、15日に福岡市中央区のホテルモントレラ・スール福岡で開いた。
ハエ成虫駆除用殺虫剤『アジタ』は、第2世代のネオニコチノイド系の新成分であるチアメトキサムを含有したハエ成虫駆除用のベイト剤で、チアメトキサムを1%含有した粒状タイプ「アジタ1%粒」と、チアメトキサムを10%含有した溶解用タイプ「アジタ10%溶解用」の2製品がある。
「アジタ1%粒」の粒は、周囲とのコントラストが強い明るい黄色で、形と色、ハエ性フェロモンでハエを強力に誘引する。床面積100平方メートル当たり200グラムをトレイなどに出し、畜・鶏舎内や周辺のイエバエが集まりやすい床面や窓枠に設置する。
「アジタ10%溶解用」は、床面100平方メートル当たり250グラムを、200ミリリットルの水またはぬるま湯に混合し、畜・鶏舎内と周辺の壁・柱などのイエバエが集まりやすい場所に塗布する。
有効成分のチアメトキサムは、独自のクロロチアゾール環とオキサジアジン環を有し、従来のネオニコチノイド系薬剤に比べて優れた効果が期待できる。
『アジタ』を摂取したハエの約20%がその場で、残りの約80%が2メートル以内で致死するため、薬剤の周辺はきれいな状態が続くほか、従来のベイト剤とは異なり、『アジタ』の有効成分と誘引剤は糖基材の中にまんべんなく埋め込まれているため、ハエがベイト剤を摂取しても、誘引作用と殺虫効果は長く持続する。
さらに粒剤と溶解用の2製品があるため、ハエの種類や設置場所に応じて使い分けができるほか、家畜や環境、作業従事者に対する安全性が高いなどの特長がある。
13日の東京会場では、アームストロング社長が「『アジタ』を日本市場で展開できるのは、畜産生産者や動物薬ディーラーの皆様のおかげであり、心からお礼申し上げる。ハエの成虫の駆除効果が高く、長く持続し、使いやすいなどの利点があり、農場衛生に資する製品として期待している。
本日は研修という堅苦しいものではなく、楽しんでいただける場として様々な企画を用意した。皆様のこれまでのご支援に感謝するとともに、『アジタ』をできるだけ多くご使用、または販売していただけるようお願いする」などとあいさつした。
セミナーでは、製品紹介DVDが上映され、スイス・ノバルティスアニマルヘルス社テクニカルサービスマネージャーのカイ・ジーバート博士が『アジタ』の特長や効果などを説明した。
ジーバート博士は「ハエは家畜へのストレス要因となるほか、ウイルスや細菌、原虫、寄生虫など、100以上の病原体の伝播にかかわり、このうちの65種類が人にも伝播する。家畜の生産性の低下や治療コストの増加などによって、世界中で数十億ドルの損害が発生している。また、農場で働く人へのストレスになるほか、近隣住民から苦情が寄せられる可能性もあり、イギリスでは政府が農場を閉鎖させた事例もあった」と述べたほか、(1)『アジタ』の作用機序の詳細(2)『アジタ』の安全性試験の結果(3)実験室内と野外試験の結果(4)殺虫剤の耐性マネジメント――などについて説明した。
また、農場に生息するハエの成虫割合は20%程度で、残りの80%は卵や幼虫、サナギの状態で糞中に生息しているとし、「ハエの成虫だけでなく、幼虫の駆除も重要である。『アジタ』と幼虫駆除剤『ネポレックス』を併用することによって、より効果的にハエを駆除できる」などと強調した。
“フライクイズ~『アジタ』を使いこなすためのヒント”では、出席者が携帯電話を使ってクイズに参加。「『アジタ』が効かないハエの種類は」「ハエの脚の働きは」「畜舎の床に『アジタ』を設置した時、効果は何時間続くか」「ヒメイエバエ対策で不適切な『アジタ』の設置方法は」「ヒメイエバエの誘引に効果があるのは」「ハエの成虫の割合は」などの問題が出題され、マーケティング部の斎藤岳プロダクトマネージャーが「ハエの脚は味覚器官で、人間の舌の1000万倍以上も甘みを感じることができる。食物を感知すると口が伸び、唾液を放出して食物を摂取する」「床に置いて効果があるのは日中の12時間だけ。ハエは光のない夜中は飛べないため、壁や天井にいる。ハエの夜間の生息場所を探して『アジタ』を使うと、24時間、365日効果が得られる」「ヒメイエバエは床に下りてこないため、ハエの種類によって設置場所を変える必要がある」などと解説した。