卵価基金補助は約13億円、家畜衛生関係は拡充強化 農水省の19年度予算概算要求
農林水産省は、このほど平成19年度の農林水産予算の概算要求をまとめ、財務省に提出した。生産局畜産部の予算では、鶏卵価格安定対策事業が13億1000万円(前年度比2.3%減)、飼料穀物備蓄対策事業が41億2400万円(同3.4%減)となった。消費・安全局では、新規に農場生産衛生管理技術等向上対策事業が2310万5000円要求されたほか、家畜伝染病予防費が37億9000万1000円(同2.1%増)に拡充された。
平成19年度の農林水産省予算の概算要求のうち、養鶏に関係する主な項目は次の通り。
▽鶏卵価格安定対策事業=13億1000万円(18年度13億4100万円)。
卵価の大幅な低落があった場合に、全国と全日本の両卵価安定基金から価格差補てんを行なうことにより、養鶏経営の安定と鶏卵価格の安定を図るとともに、需要に見合った生産を推進する。両基金の基金造成の一部に助成するもの。
▽国産農畜産物の競争力強化に向けた生産面での取り組み強化の補助事業で、(1)基幹的産地食肉センターや食鳥処理施設における処理の効率化、品質の向上、機能の向上・改善などのための施設整備(2)鶏卵処理施設における処理の効率化、品質の向上、機能の向上・改善などのための施設整備(3)先進的で高度な衛生管理機能を備えた基幹的産地食肉センターや食鳥処理施設の整備(4)鶏卵の集出荷・処理加工の拠点となる先進的で高度な衛生管理機能を備えた鶏卵処理施設の整備――など=強い農業づくり交付金426億7800万円(同405億6600万円)や新規の未来志向型技術革新対策事業75億8600万円の中に含まれる。補助率は定額または2分の1。
▽飼料穀物備蓄対策事業=41億2400万円(同42億7100万円)。
(社)配合飼料供給安定機構などが配合飼料メーカーなどとともに実施するトウモロコシ・こうりゃんの六十万㌧備蓄への定額補助。
▽エコフィード(食品残さの飼料化)対策=食品残さ飼料化対策推進事業3000万円(18年度予算と同額)や新規の未来志向型技術革新対策事業75億8600万円に含まれる。
濃厚飼料の自給率向上を図るため、地域で発生する食品残さなどの未利用資源の飼料化利用を強力に進めることで、国内リサイクル資源を活用した循環型畜産への転換を図る。
▽家畜排せつ物の利活用の支援=地域バイオマス利活用交付金160億500万円(18年度137億2900万円)や、新規の未来志向型技術革新対策事業の高機能たい肥活用エコ農業支援事業3億600万円などに含まれる。
▽農場生産衛生管理技術等向上対策事業=2310万5000円(新規)。
食品の安全性の確保や家畜の伝染性疾病の予防を図るには、家畜の生産段階において総合的に病原微生物などによるリスクを抑制することが重要であるため、民間団体に定額補助してHACCP方式を活用した衛生管理が行なわれている農場を認証するための基準などを策定する。
▽消費・安全対策整備交付金における家畜衛生の推進=27億3846万6000円(18年度27億171万5000円)。
家畜保健衛生所の機能を全国的に一定水準以上に保つことを目的に、19年度から5か年計画で検査の迅速化、高度な疫学診断などに対応するための施設と機器を整備し、地域の家畜防疫体制た疾病の監視体制、危機管理の対応を強化する。都道府県へ定額(2分の1以内)補助。
▽家畜伝染病予防費=37億9000万1000円(18年度37億1360万7000円)。
高病原性鳥インフルエンザなど、家畜伝染病の発生予防やまん延防止を図るために、家畜伝染病予防法に基づく費用や手当金。
▽動物用医薬品対策事業=6816万2000円(18年度6814万9000円)。
動物用医薬品の安全性、有効性を確保するため、国が行なう動物用医薬品承認に必要な資料の国際的な調和や、ワクチンの安定供給のためのシードロットシステムの導入、動物用医薬品の承認に必要な試験のためのガイドラインの作成などを民間団体に委託して行なう。