ネズミ・鳥インフルエンザフリー鶏舎を本格推進 ハイテム

『ベルコンシャッター』の開発に成功

ベルトコンベアの停止と同時にシャッターが閉まり、ネズミ、イタチなどの害獣を寄せつけない

ベルトコンベアの稼働スイッチをオンにすると、シャッターが開く

㈱ハイテム(安田勝彦社長―本社・岐阜県各務原市テクノプラザ2-10)は、鳥インフルエンザ発生要因の一つとされる野ネズミ、イタチなどの侵入を防止するため、鶏舎の鶏糞搬出口の完全遮へいに取り組み、鶏糞の搬出に特化した格納方式「ステンレスフレーム鶏糞コンベア」の納入を開始しているが(本紙2月25日号掲載)、さらにシンプルで、建物との取り合い(結合部分の結合方法や、位置の調整方法)が容易な画期的な方式『ベルコンシャッター』の開発に成功したと発表した。

令和2年度に発生した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の疫学調査では、鶏舎内に野ネズミなどの小型野生動物が侵入した可能性が報告されている。

鳥取大学農学部附属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターの山口剛士教授は、鶏病研究会報第55巻増刊号(2019年10月)で報告した「野生動物の鶏舎内侵入」の中で、①野ネズミは鶏舎の集卵用コンベアや除糞ベルトの出入り口、排水口などから日常的に鶏舎内外を往来し、鶏舎内に病原体を持ち込む可能性がある②イタチやテンなどの野生動物が鶏舎内のネズミを捕食する様子も観察されていることから、イタチ類が野外環境で野鳥を介してHPAIウイルスに暴露されている可能性がある――ことなどを注意喚起し、野生動物の鶏舎への侵入防止を課題としていた。

ハイテムが開発したベルコンシャッターは、ベルトコンベアが鶏舎壁を貫通する部分をフレームレスとし、ここにシャッターを設け(特許申請中)、コンベアの稼働スイッチと連動させる方式を基本としている(説明図参照)

ハイテムではこれを機に、次の3点を柱にネズミ・鳥インフルエンザフリーを目指した「ハイテムLH(レイヤーハウス)システム」を本格的に推進するとしている。

①ベルコンシャッターを標準装備する。

②ネズミの通路となる集卵コンベアには、密閉性能を向上させたバーコンシャッターを標準装備する。

③入気口・ドアなどの開口、建物フレームと断熱材、基礎との取り合いなど、ネズミ・鳥インフルエンザフリーを目指して徹底研究した鶏舎を、ハイテムLHシステムとして構築する。

ハイテムでは、将来的には建物部材の工場生産比率を高めたプレファブ化を実現し、性能を高めた上、価格は在来工法並みを目指す。

また、ハイテムLHシステムの展開にあたっては「建築施工会社との連携を積極的に進めたい」としている。