令和2年度食肉・食鳥肉衛 生技術研修会と研究発表会

厚労省・食品監視安全課がオンラインで

厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課は、食肉と食鳥肉の検査員を対象とした「令和2年度食肉および食鳥肉衛生技術研修ならびに研究発表会」を新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月1~3日にオンラインで開いた。

食品安全監視課輸出先国規制対策室からは、「2020年のFSIS査察の結果を踏まえた衛生監視について」の演題で、米国農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)の査察結果の報告と今後の対応などについて解説。これまでの査察の指摘から、逸脱や不適が発生すること自体が問題ではなく、発生時にいかに対処するか、原因を特定して再発防止するかが重要と指摘したほか、講じた改善措置内容は詳細に記録に残し、HACCP会議などで検証が行なえるようにすることや、HACCP導入はゴールではなくスタート地点であり、PDCAサイクルを回して改善していくことの重要性を強調した。

食品監視安全課からは「と畜検査員および食鳥検査員によるHACCP外部検証の概要」についても説明され、自治体職員に対し

①今般の省令(と畜場法および食鳥処理法施行規則)改正において、と畜場および大規模食鳥処理場におけるHACCPに基づく衛生管理について、都道府県等のと畜検査員および食鳥検査員による外部検証の実施が明確にされた

②厚生労働省が毎年実施しているHACCP導入状況調査によると、各畜種ともにHACCPの導入が進んでいる結果が報告されているが、都道府県等においては、その報告と現場の実態が合致しているか、改めて管轄の施設に対する入念な監視指導を実施するようお願いする

③従来から各省令において規定されている、と畜場および食鳥処理場が実施する一般衛生管理に対する外部検証も含め、各施設のHACCPに基づく衛生管理の推進のための監督体制の強化をお願いする

④微生物試験による検証により得られたデータは、全国的な傾向の分析および集計結果の還元、検証方法の改善等に利用するため、データ報告への協力をお願いする

⑤この検証の枠組みについては、運用を開始したばかりであり、実際に外部検証を実施して気づいた点や改良すべき点について、意見がいただければ幸い

――などと報告した。

最終日の3日にバーチャルフォーラム形式(オンライン)で開いた研究発表会では、口頭で食肉18題・食鳥肉6題、誌上で食肉8題・食鳥肉2題が発表された。
このうち食鳥肉の演題と発表者は次の通り。

【口頭】

①食鳥検査員による外部検証における微生物試験実施方法の検討について(青森県十和田食肉衛生検査所・勝浦由紀)

②食鳥首皮の細切方法の差異による微生物試験への影響に関する検討(埼玉県食肉衛生検査センター・坂本大地)

③鶏のブドウ球菌症(兵庫県食肉衛生検査センター・占部晋一郎)

④管内認定小規模食鳥処理場における衛生管理計画の導入支援とその効果(宮崎県日向食肉衛生検査所・内海優子)

⑤ブロイラーの浅胸筋変性症の病態調査(鹿児島県串木野食肉衛生検査所・田澤陸)

⑥肉用鶏にみられた腎芽腫(福島県食肉衛生検査所・高橋玲)

【誌上】

「鶏白血病ウイルスの関与が考えられる鶏の腎臓腫瘤」(岐阜県中央食肉衛生検査所・黒岩学)

「鶏の真皮扁平上皮癌について」(山口県長門健康福祉センター・岡田明子)