秋田県で北日本養鶏研究大会 来年は青森県

約230人が出席した北日本養鶏研究大会

東北6県と北海道の養鶏生産者、業界関係者と鶏病研究会などの関係者が一堂に会して研さんする「平成30年度北日本養鶏研究大会」と「鶏病研究会北海道・東北地区技術研修会が9月6、7の両日、秋田市の秋田ビューホテルで開かれた。当日未明に発生した北海道胆振東部地震の影響で、北海道の関係者は欠席したが、約230人が参加。

6日の北日本養鶏研究大会では、主催県の藤原儀英秋田県養鶏協会会長が北海道地震と、台風21号の被災者へのお見舞いの言葉を述べたうえで、「北海道関係者の参加はできなくなったが、多数の参加をいただき、ありがとうございます。心から歓迎します」と開会を宣言。

北日本養鶏協議会の三品清重会長(福島県養鶏協会会長)も冒頭、西日本豪雨、台風21号と北海道地震の被災者にお見舞いの言葉を述べるとともに、世界中で大規模災害が発生し、災害の規模も拡大していることについて〝温暖化の影響か、先行きも懸念される〟とし、養鶏業界については「今夏は、全国的に35度C以上の猛暑が続き、かなりの鶏が熱死していると言われる一方、猛暑で卵の消費量が落ち込み、鶏卵相場もなかなか回復しない状況にある。4年間続いた未曽有の高卵価も、今年に入り急落し、低卵価時代の幕開けを感じる。4月下旬には成鶏更新・空舎延長事業が発動され、約500万羽の参加申請があった。ただ、処理場のキャパシティーの問題が発生し、鶏を出せない生産者も発生したようで、運営に課題を残したが、奨励金の支払いは1か月後になるなど、資金繰りにはかなり貢献したと思われる。これまでの高卵価によって、5年前まで年間約1億羽であった採卵鶏ひなえ付け羽数が、この4年間で徐々に増え、昨年は1億900万羽になった。今年の1~6月も前年同期より3.6%増えており、年間では1億1000万羽を超える可能性もある。従って来年からの鶏卵生産量は、大幅に増えることが予想される。生産増を吸収していくためには、業界が一丸となって卵の消費拡大活動を行なっていかなければならない。過日、テレビで放送された林修先生の、卵を何個食べてもコレステロールには影響ないという内容の番組には大きな反響があり、放映直後から卵の売れ行きが急によくなってきたと言われている。2020年には東京オリンピックが開催され、インバウンドも増えてくると思われるため、安全でおいしい日本の卵をたくさん食べてもらって、消費拡大につながればと期待している。生産増に消費が追いつかなければ、生産過剰で鶏卵相場は下がることになり、今まで以上に海外に、安全な日本の卵を輸出することを考える必要がある。近い将来には、アニマルウェルフェアの影響や、TPP11、日・EUのFTAなどによる関税撤廃の問題もあり、この業界も大変な時代に入っていくと思われる。この大会を契機に、皆さんで情報交換し、今後の経営戦略の一助にしていただけたら幸いである」などと述べた。

来賓を代表して佐竹敬久秋田県知事(代読・川原誠副知事)、穂積志秋田市長(代読・中泉強産業振興部次長)、(一社)日本養鶏協会の齋藤利明会長(代読・阪本英樹事務局長)が祝辞を述べた。

記念講演では、東西産業貿易㈱の村田良樹会長が「急速に進むアニマルウェルフェアへの動き~EUでは、アメリカでは、日本では」、曹洞宗秋田県宗務所副所長で、玉林寺(仙北市)の斎藤昭道住職が「出会いは人生の宝」と題して講演した。

次回開催県の青森県養鶏協会の佐々木健会長が「来年はぜひ青森へお越しください」と呼びかけて閉会した。