卵殻膜が傷を治す仕組みの研究成果を米科学誌に掲載 アルマードが東大、農工大教授らと共同研究

㈱アルマード(荒西俊和社長―本社・東京)は10月31日に東京都内で記者会見し、卵殻膜が表皮の内側の「皮膚真皮乳頭層」のⅢ型コラーゲン遺伝子発現を約1.6倍促進することを実証した研究成果などが、米国の科学誌に掲載されることが決まったと発表した。

卵の殻の内側の膜「卵殻膜」は、同社によると400年前以上前の中国の薬学書「本草綱目」でも〝天然のばんそうこう〟として紹介され、力士が傷を治す際にも活用されてきた。傷を治す科学的な仕組みは長年、解明されていなかったが、東京農工大学の跡見順子客員教授(東京大学名誉教授)らと共同研究を進め、2011年には卵殻膜が皮膚の細胞を刺激して、Ⅲ型コラーゲン関連遺伝子を増加させることを、培養皿を使った実験で確認。

今回は、跡見客員教授らとの共同研究で、真皮乳頭層での同遺伝子の発現が、卵殻膜を塗らない場合と比べて約1.6倍増えることなどを、実験動物(ヘアレスマウス)で実証し、それらの研究成果が米国の細胞・組織学専門誌「Cell&Tissue Research」に掲載されることを発表したもの。人の腕の皮膚の弾力性が有意に増加し、しわが有意に改善することも確認したという。

記者会見では、アルマードの長谷部由紀夫会長が「卵殻膜研究のきっかけと産学連携プロジェクト」、跡見客員教授が「皮膚科学における『卵殻膜』の有用性・メカニズム」、荒西社長が「卵殻膜活用と展望」について事業内容や研究成果を報告した。

長谷部会長は小学1年生の時、祖母から卵殻膜を傷口に貼ってもらったところ、2~3日で完治したことが忘れられず、卵に興味を持ち、卵殻膜の情報を半世紀以上集め続けたことを紹介。1990年代に、卵殻膜を加水分解することで水に溶けるようにし、またナノサイズまで微粉末化することで食べても消化できるよう加工することに成功。東京大学大学院の加藤久典特任教授や、農工大の跡見客員教授らとの共同研究を行なってきたことを説明した。

跡見客員教授は研究成果を詳しく紹介。荒西社長は、卵殻膜を活用した同社の各種製品が、テレビショッピングチャンネル「QVC」の番組で1分間当たり468万円売れたことなどを紹介した。