IB対策ワクチン『IB生「科飼研」JPⅢ』 QX-L型株にも有効性を確認

全国農業協同組合連合会(略称・JA全農、本所―東京都千代田区)の家畜衛生研究所(略称・家衛研、千葉県佐倉市)と㈱科学飼料研究所(略称・科飼研、本社ー東京都中央区)は2021年に、鶏伝染性気管支炎(IB)対策の新ワクチン『IB生「科飼研」JPⅢ』を共同開発し、同年10月1日に科飼研から発売したが、多様なIBウイルス株への効果が確認され、使用事例が広がっている。

IBは、コロナウイルス科のIBウイルスを原因とする鶏病で、鶏の品種、性、日齢に関係なく全国の養鶏場で常在化し、多様な症状を示して生産性を悪化させるなど、経済的損失が大きい疾病となっている。

対策には鶏群のオールイン・オールアウト、アウト後の鶏舎の水洗・消毒・乾燥の徹底などの適切な飼養衛生管理に加え、ワクチン接種によるコントロールも求められるが、IBウイルスは変異しやすく、様々な遺伝子型が存在するため地域や養鶏場の流行に合ったワクチンを接種する必要がある。

JA全農は、2000年頃から全国的に発生が報告されるようになった、従来のIBウイルスとは抗原性が異なるJP-Ⅲ型のIBウイルスへの対策強化のため、全国の養鶏場から様々な性状の流行株を収集し、JP-Ⅲ型に対応するワクチン開発に取り組み、21年10月から販売したもの。

新ワクチンの『IB生「科飼研」JPⅢ』は、IBによる腎炎死亡鶏由来のJP-Ⅲ型流行株を弱毒化して安全にしたもので、投与方法は飲水、点眼、散霧から選択可能となっている。

JA全農の家衛研の試験では、ワクチン投与区では呼吸器症状は認められず、臓器からも攻撃株は分離されていない。鶏に付与したワクチン免疫によって、鶏の体内で攻撃株の増殖を顕著に抑制したことも示されるなど、JP-Ⅲ型株への優れた有効性が確認されている。

近年、世界各国では新しい変異株の『QX-L型』IBウイルスが拡大し、従来のIBと同様に呼吸器症状、産卵障害、腎炎などの症状が報告されていることを踏まえ、JA全農の家衛研は国内での浸潤調査を行ない、20年に『QX-L型』野外株をわが国で初めて分離した。

QX-L型IBウイルスの流行国

IB生「科飼研」JPⅢの有効性試験成績

遺伝子解析により、QX-L型S1遺伝子は現在、国内で検出割合が多いJP-Ⅲ型と類似することが明らかとなり、『IB生「科飼研」JPⅢ』ワクチンがQX-L型IBウイルスにも有効ではないかと考えられることから、家衛研で試験を実施した。

具体的には、『IB生「科飼研」JPⅢ』を点眼投与した鶏にQX-L型野外株を人為的に感染させた試験で、臓器中のウイルス遺伝子量が有意に減少し、呼吸器症状の改善も認められる結果となった。

国内のQX-L型の流行状況や病原性については、まだ不明な点も多いため、家衛研では全国の採卵養鶏場を対象としたQX-L型の流行状況調査を行ない、得られた成果は本年9月開催の第166回日本獣医学会で報告予定。

今後、『IB生「科飼研」JPⅢ』の使用がさらなる対策の一助になることが期待される。科飼研では「発売以来ご好評をいただき製造能力を増強中」とし、家衛研は「農家の実態に応じて効果あるワクチンの選択から支援したい」としている。