6月末の作付け状況調査を反映 米国農務省の7月穀物生産予想
直近の相場は不安定な推移
米国産トウモロコシ、生産は上方修正
米国農務省(USDA)が7月11日に公表した農産物需給予測月報(WASDE)によると、今秋収穫する2019/20穀物年度(19年9月~20年8月)の米国産トウモロコシの1エーカー当たり単収は前年度比10.4ブッシェル減の166.0ブッシェル、生産量は同5億4500万ブッシェル(3.8%)減の138億7500万ブッシェル(約3億5244万トン)、期初在庫と合わせた供給量は同3億3000万ブッシェル(2.0%)減の162億6500万ブッシェルと予想している。
6月28日付の実地調査に基づいた作付面積(Acrege)レポートを基に、作付面積と収穫面積を100万エーカー以上上方修正し、生産量は1億9500万ブッシェル(1.4%)、供給量は同3億4000万ブッシェル(2.1%)上方修正した。ただ、同レポート作成時でもトウモロコシを植えている途中の畑が多かったことから、USDAは7月にも調査を継続し、必要に応じて8月のレポート(Crop Production Report)で修正データを公表するとしている。
需要面は、エタノール向けは前年度比5000万ブッシェル増の55億ブッシェル、飼料その他向けは同1億万ブッシェル減の51億7500万ブッシェル、輸出量は同5000万ブッシェル減の21億5000万ブッシェル、期末在庫は同3億3000万ブッシェル減の20億1000万ブッシェル、期末在庫率は14.1%。平均農家販売価格は同10セント高の3.7ドル前後で推移すると予想している。エタノール向けと輸出量は前月予想から変わっていないが、飼料その他向けは2500万ブッシェル、期末在庫は3億3500万ブッシェル(20%)引き上げ、平均農家販売価格は10セント引き下げた。
米国以外のトウモロコシ輸出量は、ブラジル(3400万トン)とアルゼンチン(3350万トン)は前月予想と同じだが、ウクライナ(2800万トン)は前月予想より100万トン増えた。
今穀物年度の南米産、輸出量は上方修正
なお、ブラジルとアルゼンチンの輸出量は、今穀物年度(18/19年度、今年8月末まで)産についても、直近の豊作と順調な積み出しにより、前月からさらに100万トンずつ上方修正し、いずれも3500万トンとなっている。
この結果、USDAの予測による18/19年度の世界全体のトウモロコシ生産量は、前年度比4471万トン(4.1%)増の11億2269万トン、輸出量は2363万トン(15.9%)増の1億7238万トン。期末在庫は1055万トン(3.1%)減の3億2875万トン。
19/20年度の世界全体のトウモロコシ生産量は、前年度比1755万トン(1.6%)減の11億514万トン、輸出量は154万トン(0.9%)減の1億7084万トン。期末在庫は2983万トン(9.1%)減の2億9892万トンとなった。期末在庫は依然、前年度を1割近く割り込んでいるが、減少率は前月予想より1.6ポイント改善している。
シカゴのトウモロコシ相場は7月22日現在、年初比約30セント高、直近の高値からは約30セント安の4.3ドル前後で推移している。
世界の大豆生産量は前月予想より減少、米国産は大幅下方修正
米国産大豆の1エーカー当たり単収は前年度比3.1ブッシェル減の48.5ブッシェル、生産量は同6億9900万ブッシェル(15.4%)減の38億4500万ブッシェル(約1億464万トン)、輸出量は同1億7500万ブッシェル増の18億7500万ブッシェル、期末在庫は同2億5500万ブッシェル減の7億9500万ブッシェル、平均農家販売価格は同10㌣安の8.40ドルと予想。
前月予想からは、作付面積と収穫面積が約450万エーカー、単収が1ブッシェル、生産量が3億500万ブッシェル、輸出量が7500万ブッシェル、期末在庫が2億5000万ブッシェル下方修正され、平均農家販売価格も15セント上方修正されている。6月28日付の実地調査に基づいた作付面積(Acrege)レポートの結果を基に、作付け面積に加えて単収も伸びないと判断された。作付けは多くの州で大幅に遅れており、作付面積は前月予想より割合にして5.4%下方修正されている。トウモロコシと同様に、7月の再調査の結果を必要に応じて8月に公表するとしている。
米国以外の予想大豆輸出量は、ブラジルとアルゼンチンが前月予想より100万トンずつ上方修正され、それぞれ7600万トン、800万トンとなっている。ブラジルの予想生産量は過去最高の1億2300万トンで前月から変わっていない。
この結果、19/20年度の世界全体の大豆生産量は、前年度比1583万トン(4.4%)減の3億4704万トン、輸出量は110万トン(0.7%)増の1億5126万トン。期末在庫は845万トン(7.5%)減の1億453万トンに減少すると予測している。
シカゴの大豆相場は7月22日現在、年初比約50セント安、直近の同レポート発表直後の7月12日の高値からは約15セント安の9.0ドル前後で推移している。