飼料用米は34県で増加 28年産米の作付け中間動向
農林水産省は5月17日、平成28年産米の作付けの中間動向を発表した。この中で飼料用米の作付面積は、27年産に比べて「増加傾向」にあるのが34県、「前年並み傾向」が4県、「減少傾向」が8県で、増産見込みとなるが、畜産・飼料業界の需要量は依然満たしていないとみられている。
28年産米の取り組み調査は、4月末現在で地方農政局が都道府県農業再生協議会や地域農業再生協議会から①主食用米の生産数量目標の達成見込み②転作作物となる飼料用米、稲発酵粗飼料(WCS)、麦(二毛作を含む)、大豆(二毛作を含む)の作付け動向――を聞き取りしたもの(地震の影響が続く熊本県は除く)。
主食用米の過剰作付けを解消し、生産数量目標を達成する見込み(目標以上の達成を含む)は34都道府県で、「さらなる取り組みが必要」が12県。
農水省は「引き続き主食用米から飼料用米、麦、大豆、野菜などへの転換や、そのための環境整備を図り、需要に応じた生産を推進することが必要」としている。
転換作物の飼料用米は、水田活用の直接支払交付金などの助成措置によって、27年産は26年産に比べ作付面積は2.35倍の7万9766ヘクタール、生産量は2.36倍の42万1077トンに拡大した。
28年産飼料用米の作付面積は、中間動向調査で「増加傾向」となっているのは、北海道、宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、島根、岡山、広島、山口、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島の34道府県。
「前年並み傾向」は東京、愛知、鳥取、沖縄の4都県。「減少傾向」は青森、岩手、秋田、山形、群馬、大阪、和歌山、徳島の8府県。
ただ、日本飼料工業会、くみあい飼料工場会、全酪連、日鶏連の4団体が今年3月23日に稲作生産者向けに発信した「28年産飼料用米の生産拡大に向けたメッセージ」で、全国で120万トン程度まで受け入れ準備を整えたとしていたが、需要量(全農グループ飼料会社で約56万トン、日本飼料工業会組合員工場で約61万トン、畜産農家の新規需要量で約3万トン)に見合う生産量は依然、達成できないとみられ、さらなる増産が必要といえる。