平成26年の小売・外食の売上高 スーパーの畜産・食品は増加 外食産業は売上高・客数も減少
大手量販店が加盟する日本チェーンストア協会(会員60社、9327店舗)は、昨年の売上高が前年比0.6%減(既存店ベース)の13兆207億5000万円になったと発表した。
消費税増税と増税前の駆け込み需要、農畜産品の相場高などの影響を受け、食品販売は年間を通して好調であったが、衣料品、家電製品が振るわず、18年連続のマイナスとなった。
12月の年末商戦では、畜産品の売上高は牛、豚、鶏肉、鶏卵の販売好調もあって前年同期比3.8%増となった。
一方、主に中小規模の食品スーパー285社が対象となる日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、(一社)新日本スーパーマーケット協会の3団体合同調査では、昨年の売上高は0.9%増(既存店ベース)の9兆7713億1809万円。食品合計は1.3%増の8兆6494億18888万円で、このうち畜産品は7.1%増の1兆760億6609万円、総菜は2.7%増の9164億6016万円、日配は0.7%増の1兆8481億3485万円となっている。
(一社)日本フランチャイズチェーン協会によるコンビニエンスストア(10社)統計調査では、昨年の売上高は0.8%減(既存店ベース)の9兆7309億円、来客数は1.1%減の160億5499万人、平均客単価は0.2%増の606.1円になった。
売上高のマイナスは3年連続で、他の業界と同様に消費税増税後の買い控えがあったほか、2月の東日本での豪雪など、天候不順の影響も受けた。
同協会は客単価が上昇した理由について、「いれたてコーヒーを含むカウンター商材や総菜などが好調に推移したため。背景には女性の社会進出、単身世帯の増加、高齢化の進行などによる『食の外部化』がある」としている。
外食業界の(一社)日本フードサービス協会(会長=櫻田厚㈱モスフードサービス社長)は、2014年の外食産業の売上高は前年比0.2%減、客数は2.9%減と苦戦したが、客単価は2.7%増になったと発表した(正会員455社のうち約200事業者が回答、新規店を含む全店ベース)。
付加価値の高いメニューが支持されたことや、各社の価格改定などが客単価を押し上げた。
同協会は、売上高が3年ぶりにマイナスとなった要因として、2月の関東甲信越や東北地方での豪雪や、8月に近畿、中国・四国地方などで相次いだ豪雨災害を挙げている。7月には中国の食肉加工会社『上海福喜食品』が、マクドナルド用のチキンナゲットに消費期限切れ鶏肉を使用していた問題が発覚し、影響を受けた業種もあった。
売上高が好調だったのはファミリーレストラン(3.2%増)、ディナーレストラン(4.0%増)、社員食堂やデリバリーなどの『その他』(6.3%増)で、いずれも2年連続で前年を上回った。
ファミレスの中でも特に好調だったのが焼肉で、売上高8.4%増、客数4.7%増、客単価3.6%増と伸びが際立っている。この理由について同協会は「焼肉業界は2011年のユッケでの食中毒事件、原発事故による牛肉への風評被害などで苦労したが、12年はその反動増で回復し、13年、14年は高付加価値メニューの代表的なものとして需要を集めた。大勢で集まって外食する際に、焼肉店を選ぶ人が増えている」とコメント。
ファストフードの売上高は1~3月期こそ前年を上回ったが、通年では2.1%減となり、2年連続の減少。若者のアルコール離れもあって、年間を通じて不調のパブ・居酒屋の売上高は5.0%減で、6年連続で前年を下回った。