H5N8亜型のAIウイルス 野鳥から相次いで確認 鳥取、千葉、鹿児島でも

11月3日に島根県安来市で回収された野鳥のコハクチョウの糞便2検体から、高病原性鳥インフルエンザ(AI)ウイルス(H5N8亜型)が検出された(前号既報)のに続き、18日に鳥取県鳥取市、20日に千葉県長生郡長柄町のカモ類の糞便からもAIウイルス(H5N8亜型)が検出された。また、鹿児島県は27日、国内最大のツルの飛来地である出水市で衰弱したマナヅル1羽を23日に回収し、遺伝子検査でA型インフルエンザウイルス陽性が確認されたため、鹿児島大学で確定検査を実施し、29日にH5N8亜型ウイルスが確認されたと発表した。このほか26日に東京都大田区で回収されたホシハジロ1羽からも簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応が出たため確定検査を実施中。
11月13日に東京都江東区で回収したホシハジロや19日に宮城県栗原市で回収したオオハクチョウの死骸からはAIウイルスは検出されなかった。
幸い、養鶏場でのAI発生はないものの、野鳥でH5N8亜型ウイルスが検出されたことは、すでにウイルスが国内に侵入していることを示す。今年1月から発生が相次いだ韓国では、7月末までに約1396万羽のあひる、うずら、鶏を殺処分したが、9月24日以降もあひる農場で発生しているほか、渡り鳥捕獲検査で低病原性のH5N3型、H5型ウイルスも確認されている。中国政府の10月24日の発表では、農場、生鳥市場、野鳥生息地のAIサーベイランスで、H5のN1(16件)、N2(8件)、N3(1件)、N6(24件)、N8(2件)の5つの亜型が確認されている。
農林水産省では、「現在の状況は、日本全国のどこの家きん飼養農場において本病が発生してもおかしくない状況」だとし、各県や団体に対し、養鶏農場などへの注意喚起とともに、農場に出入りする関係者を含め、鶏舎に出入りする際の手指と靴の消毒、衣服の交換、農場に出入りする車両の消毒などの確実な実施、飼養衛生管理基準の順守、異常鶏の早期発見・通報などの徹底を指導するよう求めた。
欧州でも、H5N8亜型のAIはドイツの七面鳥農場(11月4日)、英国のあひる農場(16日)、オランダの採卵鶏と種鶏農場(16日、19日、21日)で発生したほか、ドイツでは野鳥からも同ウイルスが検出(22日)された。3か国にはレイヤーとブロイラーの育種拠点がある。感染が長引き、清浄性が遅れれば、原種鶏や種鶏の供給にも影響することが心配される。

ブルガリアとマレーシアをリスク評価
農林水産省は11月12日に開いた家畜衛生部会に、輸入解禁の要請を受けていたブルガリアとマレーシアを「鳥インフルエンザの清浄国と認定し、一定の条件の下で生鮮家きん肉の輸入を認めて差し支えない」とする総合リスク評価を報告した。両国との条件協議が整った段階で輸入停止を解除する。

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