卵殻を強化する『新エスク』 全農が開発、4月から発売
全農(東京都千代田区大手町1―3―1)は、配合飼料に添加することで効果を発揮する卵殻強化資材『新エスク』を開発、4月1日から全国発売する。
採卵養鶏では、商品化率の高い卵を長期間産ませるためには、破卵率の改善が重要になる。10万羽規模の農場で、破卵率を1%減らせば、年間で約200万円の収支改善が見込まれるとの試算もある。
鶏は全体的に、日齢とともに卵殻強度は弱くなることが知られている。全農では、同じ日齢の鶏でも、卵殻の強い鶏と弱い鶏がいて、弱い鶏が産む卵は破卵につながりやすいと考えられること。卵殻は腸で吸収されたカルシウムをもとに卵管(子宮部)で作られるが、このカルシウムを動かす役割を果たしているのがたん白質の“カルビンジン”で、卵管のカルビンジンの働きを強くすれば、カルシウムの利用を促進し、弱い鶏の卵殻も強くなること――を突きとめた。
このため、カルビンジンの働きを強くするには、どのような物質が効果的かについて、いろいろな原料を試しながら開発したのが卵殻強化資材『新エスク』。
『新エスク』の原料は、鶏の腸内環境の改善とミネラル吸収の促進効果を持つ“生菌剤・有機酸”と、カルシウムの利用を促進させる発酵ビタミンD。これらの組み合わせがカルビンジンの発現を増やす効果を発揮する。
使用方法は、配合飼料1トン当たり2キログラム(0.2%)を混合して産卵中の鶏に給与する。特に破卵が増える(1)400日齢を超えた老齢鶏(2)強制換羽後の破卵率が高い鶏(3)卵殻強度が下がり、平均で3キログラムに近づいた鶏(4)格外卵の発生率が農場で10%を超えた鶏(5)夏場に卵殻強度が下がった鶏――などに使えば効果が高いとしている。
全農では、農場で配合飼料に添加したり、あらかじめ各地のくみあい飼料の工場で、配合飼料に混ぜたりといった要望を含め、JAグループの農協、経済連、くみあい飼料の営業マンに相談してほしいとしている。一般の養鶏家向けは、(株)科学飼料研究所(本社・東京都中央区築地)が各地の農協などを窓口に、紙袋で販売する。