「もみ米」は200ベクレル以下 農水省が米の飼料利用で通知
農林水産省は10月6日、平成23年産米穀の飼料利用についての基準を示し、自治体が行なう玄米の放射性物質(セシウム)調査の結果、米の出荷・販売が可能になった区域の米穀は、飼料用としても出荷できると通知した。
福島原発事故により、福島県の避難区域や計画的避難区域、緊急時避難準備区域の12市町村では、今年の稲作の作付けが制限されている。福島県の12市町村以外と、茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、埼玉、静岡、宮城、山形、新潟の14都県や、その他の自治体の食用米については、8月3日に自治体が自主的に行なう放射性物質検査で、玄米1キログラム当たり500ベクレルの暫定規制値を超えた場合は、米の出荷を制限し、廃棄処分することを決めていた。
8月の段階では、飼料用米の扱いを示していなかったが、今回の通知は、飼料用米としての放射性物質検査を特に実施しないものの、食用米の検査で、暫定許容値を下回った地域で生産された飼料用米は、飼料用に出荷が可能としたもの。ただ、飼料の放射性物質の暫定許容値は1キログラム当たり300ベクレル以下としているため、玄米調査で300ベクレル以下の地域の飼料用米を使うよう求めた。
もみ殻が付いた「もみ米」で利用する場合は、23年産のイネを用いて調査した濃度比が玄米の1.5倍と測定されたため、玄米の1.5倍を掛けた濃度をもみ米に含まれる放射性セシウム濃度の目安とする(実際に測定する場合は実測値を使用)。このため、玄米調査で200ベクレルを超えたものを単体飼料として利用する場合は、飼料の暫定許容値を超えるため、利用しないよう求めた。
玄米ともみ米を混ぜて使い場合も、混合割合から飼料としての暫定許容値を超えないようにする。
今回の通知は、飼料用米に限らず、食用米や同規格外など、家畜の飼料に使用する場合はすべて対象になる。ただ収穫後の本調査で300ベクレルを超えたのは福島県の1件だけとなっている。
米ぬかについては、玄米に含まれる放射性セシウムが、米ぬかに残留する濃度を推計する加工係数を調査中で、農水省は9月17日に、これが決まるまで、食用の場合は暫定規制値の1キログラム当たり500ベクレル、飼料用では同300ベクレルを超えないよう、用途に応じて管理を徹底するよう各県などに通知している。