全国一斉に鳥インフルエンザのサーベイランス 「実態把握」が目的
農林水産省は7月11日、鶏卵を中心とした生産・流通・加工・小売・消費者団体の代表を集めて「高病原性鳥インフルエンザの検査に関する説明会」を開き、茨城県での発生対応状況や全国一斉サーベイランスの実施について説明した。
農林水産省からは、茨城県で感染した鶏に明確な臨床症状をもたらさない弱毒タイプの鳥インフルエンザ(H5N2)が発生したことと、鶏卵・鶏肉は安全である旨を正しく伝えて対応したことなどが報告された。
今回の発生対応については、昨年に比べ風評被害も少なく、小売関係者や消費者も冷静に対応したことを評価する意見がそれぞれの段階から出された。
鳥インフルエンザの国内への侵入状況を把握するため、飼養羽数1,000羽以上の採卵養鶏場を対象に実施するサーベイランスは、発生県の茨城を含む周辺の福島、栃木、群馬、埼玉、千葉の6県は、対象農家の6割以上、その他の県は同3割以上を無作為に抽出して実施する。
検査は1農場10羽以上の鶏の血清抗体(寒天ゲル内沈降反応)検査で行ない、感染していると、追加検査でどの血清亜型のウイルスに感染したものかを調べる。感染が確認された農場は、防疫指針に基づき殺処分の対象になるが、陽性事例が数多く確認された場合には、ワクチン接種の必要性も含めて家きん疾病小委員会の意見を聞いて、対応するとしている。
サーベイランスの実施について農水省は、「他の地域でもウイルスが存在する可能性を否定できないためで、個々の農場での感染を疑って実施するものではない」と強調した。このため、今回の検査結果の「陰性証明書」を養鶏場に求めないよう、流通業者や小売店などに要望した。
調査は、家畜伝染病予防法の第5条に基づいて各県が公示し、命令検査として実施する(違反者には30万円の罰金)。各県では無作為抽出といっても、どのように養鶏場を選ぶかに苦慮しているようで、不公平を避けるため、最終的には1,000羽以上のすべてを対象にする県などがあるほか、地域に片寄りができないように各家保ごとに抽出して、1日に2~3か所ずつ訪問して調査する県など、対応はまちまちのようだ。