卵殻の100%再資源化達成 キユーピー
キユーピー(株)(大山轟介社長―本社・東京)は6月10日、東京・渋谷の本社会議室で記者会見し、布施隆男取締役環境対策室長らが、このほど同社がまとめた「2003年版環境報告書」の内容を説明した。
同報告書は、キユーピー単体の生産8工場のエネルギー消費、廃棄物排出出、大気汚染防止・水質汚濁防止などにかかわるデータ(対象期間は01年12月1日から02年11月30日まで)を集計したもので、今回が3回目。
同社グループ全体の卵殻の再資源化率は100%(前年度95%)を達成した。グループ全体の鶏卵の年間使用量は約20万トンで、製造工程で約2万トンの卵殻が発生している。ほとんどの卵殻は土壌改良剤として利用しているが、一部は卵殻から卵殻膜を完全に除去し、カルシウム強化を目的とした食品原料「カルホープ」を製造して、麺類や水産練り製品、畜肉加工品、スナック菓子などに使用している。
卵殻カルシウムは、炭酸カルシウムに比べて表面積が大きく、体内への消化吸収に優れている上、カルシウムの排せつを促すリンの含有量も少ないことから、最適のカルシウム補給源となっている。骨が壊れて減少するのを防ぐ効果もあり、今後、高齢化社会の大きな問題となっている骨粗しょう症への利用開発にも、積極的に取り組む。
卵殻膜からは、化粧品原料「EMプロテイン」や、うまみ調味料「卵醤」を製造しているが、新たに(1)健康補助食品(美白ダイエットサプリメント)(2)ヘアケア製品(パーマ用ウエーブ剤)(3)衣類(ストッキング、スポーツウェア)での利用を始めた。今後は高度利用と用と拡大に向けて、あぶらとり紙や、家具・車両内装用合成皮革などでの利用可能性を研究していく。
ゼロエミッション(廃棄物の再資源化100%)は、同社の生産8工場のうち、昨年5月に五霞、今年3月に鳥栖、5月に挙母で達成したことから、残りの5工場も今年秋の達成に向けて活動する。
今後の課題には、生産廃棄物発生数量(99年対比2.1%増)と、エネルギー使用量(同3.0%増)の削減を挙げている。