阿部繁孝商店で食育交流 岩手県チキン協同組合

地域の小学生にチキン産業PR

岩手県チキン協同組合(十文字保雄理事長)は9月4日、今年で12年目の『食育交流事業』を同県九戸村の長興寺小学校で開き、4、5年生11人にチキン産業の大切さと、仕事の特徴などを伝えた。

今回は会員企業の㈱阿部繁孝商店(阿部繁之社長)の協力を得て実施。子どもたちはマスクをし、体温測定を済ませてバスに乗車。同社委託農場の明月ファームに向かった。

農場では白衣に着替え、キャップと靴カバーを着用して入念に手洗い。荒谷光輝農場長からは「ヒヨコは非常にデリケートな生き物で、少しでも環境が変わると体調を崩します。だから空気が汚れないよう注意しているし、農場を行き来する車や、空になった(空舎期間中の)鶏舎を消毒するのですよ。エサはニワトリの成長に合わせ3段階に分け、どれも食べやすい形としています」との説明を受けた。

31歳の荒谷農場長が、夫人と2人で鶏舎6棟(セミウインドレス、最大4万8000羽飼養)を管理していると聞くと、「すごい!」「イメージと違った」との反応が。毎年大好評のヒヨコとのふれあいでは「かわいい」「ふわふわだ…」との声が上がった。

続いて向かった阿部繁孝商店の九戸工場は、学校から車で5分の立地。吉田三雄工場長から1日3万8500羽を鶏肉に加工することや、同工場の従業員数は189人(男性107人、女性82人)で、うち20~30歳代が半分以上との説明があり、これも生徒が持つイメージとは違った様子。

工場見学は2班に分かれ、子どもたちはベテラン従業員の鮮やかな包丁さばきや、機械で切り分けられた各部位が袋詰めされる工程、動き続けるベルトコンベヤーなどに興味津々。学びの後に試食した『あべどり』から揚げの味は格別だったようだ。

学校でのふれあい給食には及川博文校長や阿部繁之社長、岩手県チキン協同組合の杉原永康常務、岩手日報の記者らも参加して人数が増えるため、新型コロナ対策として机の配置を大きなロの字型に。献立は鶏のから揚げ、牛乳ごはん、ひっつみ(すいとんのような郷土料理)、カリポリ和え(野菜のあえ物)、りんごシャーベットで、皆で盛りつけて配膳。及川校長のあいさつに続き、阿部社長が岩手県は全国3位のチキンの大産地で、たくさんの人が一生懸命働いていると紹介した。

「いただきます」の後はニコニコとほほ笑みながらも、あまりしゃべらないよう気を付けて食事。同校の卒業生で、九戸工場で働く銚子竜矢さんが「九戸村は、岩手県の中でも一番のチキンの出荷数なんだ。大きくなったら一緒に働きたいね」とのメッセージを送った。

今年1回目の食育交流事業を終えた杉原常務は「県のチキン産業を子どもたちが体験し、理解を深めてくれたと思う。関東などにも多く出荷されているが、県内の消費量をさらに伸ばし、岩手のチキンを誇りに思ってほしい」と話す。

10月8日にも同事業を計画し、㈱オヤマ(小山征男社長)の協力を得て、一関市の室根東小学校で開催する予定。

10月29日の「岩手とり肉の日」「国産とり肉の日」には、県内すべての小学校給食への県産チキン提供も計画している。