長野で養鶏研究大会 日本養鶏協会関東甲信越地域協

生産者や関連事業者ら約240人が出席して学び、交流を深めた

(一社)日本養鶏協会の関東甲信越地域協議会(鈴木憲一会長〈㈲スズキファーム社長〉)は10月25、26の両日、長野県千曲市の戸倉上山田温泉『ホテル圓山荘』で養鶏研究大会を盛大に開いた。各県の養鶏協会や養鶏部会が毎年持ち回りで開き、今年は採卵鶏の総飼養羽数約67万羽(県把握分)の長野県が担当した。

宮澤哲雄副会長((農)宮澤農産組合長)の開会宣言に続き、長野県養鶏協会の小松伸好会長(㈱小松種鶏場社長)が約240人の来場者を歓迎。郷土の良さを知ってもらおうと「わが県の平均寿命は全国トップクラスで、野菜の摂取量や、悪性新生物(がんなど)による死亡率の低さなどが日本一である。この健康的な都市で養鶏研究大会が開かれることは非常に意義深い。ここ戸倉上山田温泉は開湯120年以上の歴史ある温泉地で、その中でも圓山荘は2種の自家源泉を24時間楽しめる。実は15年前の同大会もここで開催したが、今回も温泉を満喫していただきたい」などと述べた。

さらに小松会長は、人の健康をテーマに今大会を開きたいとし、「たんぱく質の重要性はご存じの通りだが、その要求量はあまり知られておらず、各自が体重の0.1%を毎日摂るのが良いといわれる。体重60キロの人であれば60グラムが必要で、60グラムの卵にはたんぱく質が12~13%含まれるため、(仮に)卵だけで考えると毎日10個食べれば要求量となる。私たちはこのような知識を深掘りして、正確な情報を広めていかなければと思う。卵への誤解については、先日、私がある金融機関の支店長と話していると『卵はやはりコレステロールだよね…』と言われてびっくりした。やはり、まだまだ正しい情報が浸透していないことをつくづく実感する。本日は医学博士の白澤先生による講演もあるが、我々はもっと『コレステロールは問題ない』と、広く、確実に国民に訴えていく必要がある」と呼びかけた。

関東甲信越地域協議会の鈴木憲一会長、長野県農政部園芸畜産課の丸山秀樹課長、(一社)日本養鶏協会の齋藤利明会長(代読=阪本英樹事務局長)があいさつ。このうち丸山課長は、長野県の鶏卵生産者は飼料用米の活用や、養鶏の6次産業化の取り組みを次第に活発化させていると紹介。県として鳥インフルエンザ対策の徹底を呼び掛けていることも報告した。

続いて、国内患者数300万~400万人ともいわれるアルツハイマー病について多数の著書を持ち、各メディアでも活躍する白澤抗加齢医学研究所の白澤卓二所長(医学博士)が『Dr.白澤の驚異の若返り卵』のテーマで講演。

アルツハイマー病は脳が委縮する病で、患者の前頭葉は約70%の大きさに縮んでしまうことなど基礎的な内容から説明し、研究が進むうちに同病は〝生活習慣病〟に近いと感じるようになったと強調。「アルツハイマー病には治療よりも予防が大事」と話し、日常生活に取り入れられる様々な対策を紹介した。

食事については小麦由来の食品を控える〝グルテンフリー〟の考え方を勧め、自身が監修した著書『アルツハイマー病 真実と終焉』の中で作者のデール・ブレデセン医師は同病を防ぐための昼食として『ゆで卵2個と緑黄色野菜』を挙げていることを話し、「皆さんにはこの本をぜひ読んでほしい」と推薦した。

さらに、卵には認知機能の維持に必要なコリンが多く含まれることを話した上で、参加者に向けて「これほどアルツハイマー患者が増えた日本社会において、皆さんの協会はコリンの有用性を政府に伝えるべき」とのメッセージを送った。

自らが取り入れている独特な卵の使い方としては、風呂場で卵白をシャンプー、卵黄を石けん代わりに使っていることを明かし、「1日1個で体中を洗える。ケミカルフリーやオーガニックライフを目指す人にとってはそのような消費形態もある」と提案した。

白澤所長の講演後は、JA東日本くみあい飼料㈱の桑原徹平氏と田口稜氏が『格外卵の低減に向けた取り組み』について情報提供。関東たまニコ実行委員会の齋藤大天氏(㈱愛鶏園社長)が『たまニコAGAIN2018日本縦断チャリリレー』への協力に感謝の言葉を述べ、この取り組みを世界の関係者にアピールしたIEC京都大会では『ゴールデン・エッグ・アウォード』を受賞できたことも報告。また、2021年の国際養鶏養豚総合展に合わせて再び『チャリリレー』を企画していることを紹介し、卵のさらなる消費拡大のために、出席者への協力を求めた。次回開催県を代表し、(一社)神奈川県畜産会養鶏部会の鈴木光雄部会長(㈲鈴保養鶏園社長)が閉会のあいさつ。

懇親会は㈲ブラウンエッグファームの滝沢栄喜社長が司会を務め、千曲市の山本高明副市長があいさつ。小松会長の発声で乾杯し、なごやかに歓談した。長野県の特産品が当たる企画なども楽しみ、(農)会田共同養鶏組合の中島学会長の一本締めでお開きとなった。