過去最多の殺処分羽数に HPAI
関係者は連続発生への警戒強める
ハクチョウやコハクチョウ、マガンなどの渡り鳥の〝北帰行〟も伝えられるようになってきたが、まだ国内での高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の脅威は続いており、農林水産省も『全国どこでも発生する可能性があり、警戒が必要です!!』として、新たな注意喚起ポスター【写真上】で警戒と消毒などの対策の徹底を呼びかけている。
今シーズンの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI、H5N8亜型)の発生は、2月17日現在で17県、50事例、被害発生は約967万羽となっているが、なかでも心配なのが続発している千葉県で、2月18日現在の同県の被害羽数は、採卵鶏(成鶏めす)が約419.2万羽、育雛・育成鶏が約46.3万羽、アヒルが1.4万羽。このうち採卵鶏被害羽数は全国の採卵鶏被害羽数(約772万羽)の54%に相当し、今後の鶏卵需給と価格に大きな影響を与えるとみられる。
千葉県では、いすみ市の採卵鶏農場で12月末と1月初旬に1例目と2例目(合計約226.8万羽)で発生し、1月下旬には横芝光町と匝瑳市のアヒル農場で3例目、4例目(合計約1.4万羽)が確認された。
2月に入っても4日に5例目となる匝瑳市の採卵鶏農場(旭市の関連農場を含め約16.5万羽)、6日に6例目となる旭市の採卵鶏の育成農場(約42.4万羽)、7日に7例目となる多古町の採卵鶏農場(約115万羽)で発生している。
さらに匝瑳市では、8日には8例目となる採卵鶏農場(約25万羽)、さらに11日には2か所の採卵鶏農場で9例目(約7.5万羽)、10例目(約27.6万羽)、15日には採卵鶏の育雛農場で11例目(約3.9万羽)が連続して発生。県内の養鶏関係者は、匝瑳市を中心とする発生状況は『多発型』になっていると憂慮するとともに、警戒感を一層強めている。
農林水産省でも、8日に千葉市に現地対策本部を設置して、県との連携した防疫対応を進めるとともに、近隣農場での発生を防止するために、匝瑳市と旭市で散水車による道路消毒(2月11日~3月12日の30日間)など地域一体となった取り組みを進めており、その成果が期待される。
アジアや欧州でもHPAI発生増加
HPAIの発生は、今年に入ってもアジアではインド、ネパール、カンボジア、ベトナム、台湾、香港、韓国、ブータンなどで報告されている。
特に、隣国の韓国の昨年1月以降のHPAI(H5N8亜型)の被害が2月14日現在で発生農場82戸(アヒル39、採卵鶏32、うずら3、種鶏4、ブロイラー2、観賞用鳥類2)、羽数で711万5778羽にのぼる。これに疫学関連農場1戸の12万羽、発生農場から3キロメートル内の予防的殺処分27戸の166万4000羽を加えた累計処分は110戸・889万9778羽。
同時期の欧州でも発生件数は増えており、2月15日現在でベルギー2、ブルガリア13、クロアチア1、チェコ7、デンマーク2、フインランド1、フランス679、ドイツ59、ハンガリー279、アイルランド1、イタリア1、リトアニア1、オランダ10、ポーランド69、ルーマニア2、ロシア72、スロバキア5、スウェーデン4、ウクライナ13、英国18の計1239件。野鳥では800件の発生となっている。