米国産トウモロコシ 史上最高の供給予想 農務省の5月予測 大豆生産は減少か

今春の天災の影響はまだ不明

米国農務省(USDA)が5月10日に公表した農産物需給予測月報(WASDE)によると、今秋収穫する2019/20年度の米国産トウモロコシの1エーカー当たり単収は前年度比0.4ブッシェル減の176.0ブッシェル、生産量は同6億1000万ブッシェル(4.2%)増の150億3000万ブッシェル(約3億8178万トン)と予想している。

生産量は、16/17年度に次いで史上2番目に多い予想。主に中国の大豆需要減と大豆相場の低迷により、産地がトウモロコシの作付割合を増やしたことが反映されているとみられる。期初在庫と合わせた供給量は史上最高の171億6000万ブッシェル。

需要面は、エタノール向けは前年度比5000万ブッシェル増の55億ブッシェル、飼料その他向けは同1億5000万ブッシェル増の54億5000万ブッシェル、輸出量は同2500万ブッシェル減の22億7500万ブッシェル、期末在庫は同3億9000万ブッシェル増で87/88年度以来最高の24億8500万ブッシェル、期末在庫率は05/06年度以来最高の16.9%、農家販売価格は同20㌣安で06/07年度以来最安の3.3ドル前後で推移するとしている。

米国以外のトウモロコシ輸出量は、ブラジルは前年度比200万トン増の3400万トン、アルゼンチンは同100万トン増の3250万トン、ウクライナは同250万トン減の2700万トンと予想している。

米国産大豆の1エーカー当たり単収は前年度比2.1ブッシェル減の49.5ブッシェル、生産量は同3億9400万ブッシェル(8.7%)減の41億5000万ブッシェル(約1億1295万トン)、輸出量は同1億7500万ブッシェル増の19億5000万ブッシェル、期末在庫は同2500万ブッシェル減の9億7000万ブッシェル、平均農家販売価格は同45セント安の8.10ドルと予想している。

ただし米国の報道によると、今回の予想には3月以降にノースダコタ州からミズーリ州にかけて発生し、作付けを大幅に遅らせている大規模な洪水や天候不順など天災の影響は織り込まれていない。これを織り込めば、トウモロコシの予想生産量はより減少し、作付け時期がトウモロコシより遅い大豆の予想生産量が、より増加するとみられている。

米国以外の大豆輸出量は、ブラジルは同350万トン減の7500万トン、アルゼンチンは同70万トン増の700万トンと予想。ブラジルの大豆生産量は過去最高の1億2300万トンと予想している。

中国の大豆生産量は前年度比110万トン増の1700万トン、大豆輸入量は同100万トン増の8700万トンと増加を予想しているが、9410万トンを輸入していた17/18年度と比較すると大きく減少している。大豆ミールなどのたんぱく源の消費量は、アフリカ豚コレラの影響を織り込んで前年度並みと予想した。

鶏卵生産量2.7%増、ブロイラー0.9%増

卵(孵化用卵含む)の生産量は前年実績比2.7%増(前月予想比0.8%増)の93億6200万ダース、1人当たり年間消費量は同7.7個増(同4.6個)増の291.7個、1ダース当たり年間平均価格は同50.6セント安(同18.50セント安)の87.0セントに低迷するとしている。

ブロイラーの生産量は前月予想をわずかに下方修正し、前年(18年次)実績比0.9%増の429億9100万ポンド(約1952万トン)、1ポンド当たり年間平均価格は同4.8セント安の93.0セントとした。

WASDEは今回からデータの公表方法を一部リニューアルし、世界の農産物需給データには中国を除いた数値「World Less China」を新設。平均農家販売価格は値幅を示さず中心値のみを示している。