畜産経営者のための農畜連携指針 全日畜が発刊

(一社)全日本畜産経営者協会(金子春雄理事長、略称=全日畜)は畜産と耕種農業との連携事例をまとめた『畜産経営者のための農畜連携指針』を発刊した。

全日畜が2021~22年度にJRA事業として実施した調査結果を基に作成したもの。国内の飼料自給率が25~27%と横ばいで推移する中、国が30年度の達成を目指す同34%までの引き上げには水田と農地のフル活用、そして農畜連携が欠かせないとして具体例や課題を提示している。

目次は①農畜連携のための畜産側・農業側の現状②農畜連携事例③農畜連携のための課題解決の方向性④農畜連携における飼料用米の利用⑤稲発酵粗飼料(稲WCS)の利用⑥家畜ふん尿の資源循環⑦関係者の意見のまとめ⑧農畜連携アンケート調査結果――など。

このうち②では、全日畜による現地調査を経て、農畜連携のモデル地区に選ばれた青森、千葉、山口各県での事例を掲載。青森県では米どころの西北地域と、畜産の盛んな上北地域との連携が強いが、この背景には大規模稲作経営やトキワ養鶏、肉用牛の㈲金子ファーム、八戸飼料穀物コンビナートなどが2010年代に強く結び付き、行政や各団体の支援も得ながらブランド化と効率化を進めたことがあると紹介。

山口県では鶏卵・鶏肉生産などに取り組む㈱秋川牧園が、地域の農家から飼料用米を直接購入して活用。同社は水田への鶏ふん施肥や、農家への技術指導までを行なうという強力な支援体制を敷いていると紹介している。

また⑦では秋川牧園に加え、鶏卵生産者の坂本養鶏㈱(青森)、㈲サンファーム(千葉)、出雲ファーム(山口)による農畜連携への意見も掲載。

A4判、全157ページ。内容は全日畜ホームページ(https://alpa.or.jp/)でも公開している。問い合わせは全日畜事務局(電03-3583-8034)へ。