業務の効率化と標準化へ 飼料流通の合理化に関する検討会
農林水産省は、今年6月から9月にかけて開いた「飼料流通の合理化に関する検討会」で飼料流通の課題と対応について検討し、①飼料流通の現状と課題②飼料流通特有の課題③飼料流通の改善の方向性④今後の進め方――で構成された中間とりまとめ報告書をまとめた。
わが国畜産業の安定的な発展のためには、生産コストの低減を不断に進めていくことが重要であるが、飼料費は生産コストの3~6割を占め、特に配合飼料などの濃厚飼料のみを給与する豚や鶏の経営では6割と高い割合に達しており、飼料費のコスト低減は特に重要な課題となっている。
農林水産省は農業競争力強化支援法(平成29年法律第35号)を制定し、この法律に基づいて配合飼料メーカーでは、製造効率の低い工場の再編整理、小ロット銘柄数の削減などの配合飼料価格の低減に取り組んできた。
一方、飼料の運賃は輸送形態(バラ・トランスバッグ・紙袋)や輸送距離によって異なるものの、生産者が支払う配合飼料代金のおおむね1割を占めていることから、飼料流通を合理化し、安定的な飼料輸送を確保するとともに、飼料コストの上昇の抑制が重要な課題となっている。
また、飼料輸送を担うトラックドライバーの有効求人倍率は全職種平均の約2倍で人手不足の状況にあるほか、トラックドライバーは40~54歳の割合が45%と高く、高齢化が進展しており、今後トラックドライバーの確保自体が困難になると予想されている。
飼料輸送では、特殊車両(バルク車)が使用されるとともに、トラックドライバーが飼料タンクに上って納品する高所作業や、農場搬入時の車両消毒など特有の付帯作業があるため、他の品物の輸送業務と比較して、担い手確保が難しい状況にある。このため、飼料輸送のトラックドライバーの減少は、将来の輸送費の一層の上昇だけでなく、飼料輸送が困難になった生産者の廃業につながる懸念もある。
飼料輸送コストの上昇に対しては、これまで配合飼料メーカー、卸売業者、運送業者、生産者などの関係者が独自の対策を実施してきたが、飼料の安定的な供給を図り、わが国畜産の持続的な発展を維持・継続する観点から、今年6月から3回にわたって「飼料流通の合理化に関する検討会」を開催し、飼料流通の合理化に向けた方策を検討してきた。
同検討会では、飼料流通特有の課題(直前発注の発生、工場での荷待ち時間の発生、小口配送の存在、輸送の長距離化、トラックドライバーの付帯作業の負担)に対応するために、①現状の業務をより効率的に行ない、人手の確保、運賃上昇率の抑制につなげる方策(効率化)②飼料輸送業務を誰でもできる仕事に変え、今後も人員を継続的に確保する方策(標準化)――として、中間とりまとめ報告書をまとめた。
農林水産省では、検討会や作業部会で課題として挙げられたものの、十分に議論していない者などは引き続き、検討会を開いていくとしている。