新型コロナウイルスで中国産調製品輸入にも遅れ

中国武漢市から広がった新型コロナウイルス「COVID-19」の肺炎に対処する動きが、自動車など工業製品の国際物流に影響しているが、中国産鶏肉調製品の生産や輸入も停滞させている。

中国では例年、2月ごろとなる旧正月の春節期間中が全国的な年始休暇となり、これが明けると年明けの産業活動が始まる。今年の春節休暇は1月24~30日だったが、中国国務院はコロナウイルス対策として、休暇期間を2月2日まで延長すると発表。さらに多くの省や企業が休暇期間を2月9日以降まで延長した。

鶏肉処理・加工工場も稼働開始が2月中旬まで遅れ、通常でも作業員の入れ替わりなどで人手が減りやすい春節明けに、人員が2~3割から、所によっては5割足りない工場もあるとのこと。日本向けの主な拠点は中国東部の山東省や遼寧省などにあり、死者の96%(2月12日現在)を占める湖北省や、入国拒否の適用拡大方針が示された浙江省などからは数百キロ以上離れているが、外に出ようとしない人が増えている。

日本の商社でも中国への渡航自粛や、駐在員の一時帰国が増えているほか、仮に渡航しても国を出入りするたびに2週間の待機期間を求められるなど、通常稼働ができなくなっている状況。

港湾でもクレーン技術者やドライバーなどの作業員が自宅待機から戻らず、相当量のコンテナが滞留。輸出業務が元に戻るには、数か月はかかる可能性があるとの指摘も聞かれる。影響は国際的で、米国の業界誌によると、1月20日から2月上旬までの中国の主要港からの荷積みは2割以上減少。中国発着のコンテナ船の寄港予約も急減しているとのことで、影響は少なくとも3月まで続くとの見方が紹介されている。

ただ、輸入商社によると、今年は例年より早い春節に合わせて事前の輸入量が多かったため、当面、鶏肉調製品の在庫はあるとのこと。基調として中国ではASF(アフリカ豚熱)の発生や人件費の上昇などから畜産物価格が上がる傾向はあるものの、稼働の停滞が春以降まで長期化しない限りは、鶏肉調製品の流通や国内価格への影響は小さいとみられている。