採卵鶏農場で高病原性AI 秋田、鹿児島、兵庫で発生

H5N8亜型とH5N1型が同時期に

11月10日に秋田県横手市の採卵鶏農場(約14.3万羽)でH5N8亜型、13日に鹿児島県出水市の採卵鶏農場(約3.9万羽)でH5N1亜型、15日に同市の採卵鶏農場(約1.1万羽)でH5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生した。17日には兵庫県姫路市の採卵鶏農場(約15.5万羽)でもHPAIの疑似患畜が確認された。

秋田県横手市の採卵鶏農場では11月8、9日に計約190羽の鶏が死んだため、農場の管理獣医師が9日朝に南部家畜保健衛生所に連絡し、同家保が農場で死んだ鶏を含む13羽の簡易検査を実施し12羽で陽性を確認。10日午前2時に遺伝子検査でH5亜型を確認した。当該農場の半径3km圏内に農場はなく、半径3~10km圏内に6農場、約11.7万羽がいる。県内の養鶏場から異常は報告されていない。10日朝から自衛隊の協力も得て殺処分を開始し、12日に完了。15日に鶏の埋却処理が完了した。

12日には鹿児島県出水市の採卵鶏農場でまとまって死亡した鶏がみられると北薩家畜保健衛生所に通報があり、同家保が農場で死んだり衰弱していた鶏13羽の簡易検査で陽性を確認。13日に遺伝子検査でH5亜型を確認した。当該農場の半径3km圏内には採卵鶏と肉用鶏が23戸、約91.1万羽、半径3~10km圏内にはその他家きんも含めて96戸、約461.82万羽がいる。当該農場では12日から殺処分を開始し14日に終了。16日に防疫措置が完了した。

しかし、15日に半径3km圏内の同市の採卵鶏農場で県内2例目が発生し、15日に殺処分が完了。16日に防疫措置が完了した。

農研機構動物衛生研究部門の検査で秋田県の事例がH5N8亜型、鹿児島県の1例目がH5N1亜型、2例目がH5N8亜型のウイルスと確認された。同時期に異型のウイルスでHPAIが発生するのは今回が初めて。

さらに16日には、兵庫県姫路市の採卵鶏農場から死亡羽数が増加したとの通報を受け、農場での簡易検査で陽性を確認。遺伝子検査により17日にH5亜型を確認した。当該農場の半径3km圏内には家きんが1戸、19羽、半径3~10km圏内には25戸、78.7万羽がいる。当該農場では17日から殺処分を開始した。

秋田県と鹿児島県、兵庫県では生きた家きん、家きん卵などの移動・搬出制限や消毒ポイントでの車両消毒などを実施し、感染拡大の防止に努めている。

政府も10日朝に鳥インフルエンザ関係閣僚会議を開き、岸田文雄首相が①家きん業者への厳重な警戒要請と予防措置の適切な指導・支援②現場での情報収集③関係省庁の緊密な連携による迅速な防疫措置の徹底④国民への正確・迅速な情報提供――を指示した。

農林水産省は、家きん飼養者に対して①早期発見・早期通報の再徹底②家きん飼養農場の防鳥ネットの再確認③ウイルスの人・車両または野鳥を含む野生動物を介した農場内と家きん舎内への侵入防止対策の徹底④農場周辺の消石灰散布など消毒の徹底――などを指導するよう都道府県に通知した。