卵の消費拡大訴える広告や活動にも助成 日本養鶏協会の「鶏卵消費拡大推進事業」
期中でも実施内容変更申請可
新型コロナウイルス対策により、鶏卵需要は外食・加工を中心に大幅な減少が続く中、産地の生産抑制への努力も続いているが、10月の月間平均相場(東京M基準)は前年を40円(25%)下回る164円に低迷。需要に見合った計画的な生産とともに、消費の拡大も当面の大きな課題となっている。
今年も11月5日の『いいたまごの日』には、人気料理研究家の卵料理の教室や、高校生が参加する「たまごニコニコ料理甲子園」などをウェブ方式によりリモートで実施。卵の正しい知識の普及啓発を通じて、卵の良いイメージの維持や、消費の拡大につながることも期待される。ただ、全国的には新型コロナウイルスの影響で、消費者との交流や、地域の盛り上げにつながるイベントが中止となるケースが増加。年末の需要や、年明けの相場などへの懸念も高まっている。
新型コロナ禍による需要減で在庫増となった和牛など他畜種については、国や各県の消費拡大につながる緊急対策が打ち出され、相場も回復しつつあるとされるが、鶏卵にはなく、また日本には米国のようなフードバンクに寄付する畜産物の政府買い上げ制度や大規模な直接給付施策もない。
このような中、卵の消費拡大に活用できる支援策の一つとして(一社)日本養鶏協会の「鶏卵消費拡大推進事業」(今年度予算1500万円)がある。同事業は、今年度から始まった第4期「鶏卵生産者経営安定対策事業」の中で、価格差補てんと成鶏更新・空舎延長事業など生産面の対応と両輪で、鶏卵の消費拡大の取り組みが卵の需給改善や経営安定にとって重要だとして、これに取り組むことが実施主体の義務として規定され、始まったもの。
加入生産者からの拠出金を基に、各道府県養鶏協会が開催する講習会・イベントなどを通じて、鶏卵の消費拡大に取り組み需給改善を図ることを目的とした対象事業に補助する。
年度当初には、予算枠を超えるほど多くの県が手を挙げたと聞かれ、各地で消費拡大に向けた様々な取り組みが計画されていたが、その後の新型コロナウイルスの影響で、中止になった地域も出ている。
ただ、日本養鶏協会によると、ソーシャルディスタンスなどの感染対策を守りながらも、「鶏卵の消費拡大を目的」とした活動であれば、同事業を活用できる。
例えば、SNSや動画サイトで卵料理を紹介し、参加者に卵の魅力を紹介しながら卵を販売したりプレゼントしたりするような企画や、卵の消費拡大を訴える地元メディアへの広告掲載、地元紙やインフルエンサーなどを集めて卵の消費拡大をPRしながら必要な人に卵をプレゼントする様子を報じてもらうなどの活動が考えられるようだ。
申請内容は期中でも変更して再申請できる。鶏卵消費拡大事業の資金を拠出している経営安定対策事業の加入生産者は、各道府県の養鶏協会と相談すると良く、工夫しながら各県で同事業を活用することで、少しでも鶏卵消費の拡大につながることが期待される。