人の健康と活力を担う鶏卵・鶏肉を守り抜こう

一丸となって危機対応を

新型コロナウイルス感染症が、国民の暮らしと社会を急速に変容させている。

政府は国内の感染防止のために、2月26日に全国的なスポーツ、文化イベントの2週間の中止・延期・規模縮小、翌27日には学校の休校を要請、さらに感染者が増加した4月7日には東京や大阪など7都府県へ緊急事態宣言を出し、16日には全国へ拡大した。

法的拘束力はなかったものの、感染防止のための手指の消毒、マスクの着用、「3密」対策の徹底、不要不急の外出自粛などに国民は全面的に同調した結果、経済に多大な影響を与えたものの、感染は抑制され、5月25日に全面解除となった。

この間、鶏卵・鶏肉の消費は、巣ごもり需要による家庭消費が拡大したが、外食・給食・観光関連の需要は急激に悪化した。また、地鶏やウズラ、あい鴨なども厳しい環境に置かれている。

〝国内での感染第1波は終了し、第2波は年末頃〟などの見方もあった中で、7月に新規感染者が、東京を中心に再び増え始めた。ただ政府は、現状では緊急事態宣言などは出さず注意喚起にとどめ、国民の自主的な行動に対応を委ねている。

落ち込む経済を回復させる政府の目玉事業としての「Go To トラベルキャンペーン」が、7月22日から前倒しで実施されることになったが、感染拡大を考慮して東京発着の旅行は補助から除外された。

まだ治療薬やワクチンがなく、感染が恐れられている現状では、人々の行動が元に戻ることはなく、鶏卵・鶏肉についても当面、業務・外食需要は大幅に縮小し、全体の消費量も、前年を下回る可能性が高まっている。

鶏肉の消費構成割合は家庭用40%、加工用6%、その他(業務・外食など)54%で、ブロイラーを中心とした国産鶏肉の多くは家庭用に仕向けられていたため、相場上昇の恩恵を受けた面がある。一方、鶏卵の推定消費構成割合は、家庭用5割、外食用など3割、加工用(食品メーカーなど)2割とされ、国産鶏卵の半分近くが業務・外食で利用されていたことから、相場への影響が顕著に表れた。加えて、ひなえ付け羽数の増加による供給量が増加し、生産過剰の懸念が高まっており、需給回復への取り組みが急務となっている。

人の健康に欠かせない良質なたんぱく質を豊富に含み、様々な栄養成分の機能性への評価も高まっている卵や鶏肉は、強い体を作る食品として推奨されることも多い。この重要な役割を担い続けるためにも、安定生産・流通を守る諸対策とともに新しい生活様式やニーズを捉えた食べ方の提案なども含め、消費の拡大に取り組まなければならない。

国際獣疫事務局(OIE)で検討されていた採卵鶏のアニマルウェルフェア(AW)基準は、今年5月の総会で採択予定であったが、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大で総会は中止となり、採択は来年に持ち越された。OIEの第4次案は、様々な飼養システムに対応できるものとなっているようだが、日本としては、鶏にも、働く人にも良好な日本型AW基準を構築しなければならない。

高病原性鳥インフルエンザや、毎年のように列島を襲う災害対策も待ったなしの状況にある。養鶏産業の諸課題を乗り越えるために、今こそ一致結束し、一丸となって対応しなければならない。