タケムラ商事の本社新社屋が竣工

〝製造卸売業〟に変化し事業拡大へ

タケムラ商事の本社新社屋

2階の加熱加工エリアの油調ライン

鶏肉の卸売りや、鶏肉加工品の製造・販売事業を展開するタケムラ商事㈱(上野実社長―本社・岐阜市柳津町流通センター1-7-1)は、本社敷地内に建設していた新社屋が完成したことから、12月4日に工事関係者らを招いて内覧会と竣工式を開いた。

新社屋は3階建てで、延べ床面積は2816.79平方メートル。1~2階は鶏肉加工品の製造工場で、清浄区と準清浄区、汚染区で床の色を変えてゾーニングを行ない、従業員が交差しないように工夫しているほか、手をかざすだけ開閉できる非接触タッチセンサーの自動ドアを導入するなど、衛生管理の徹底に気を配っている。工場全体の製造能力は月間240㌧で、旧社屋の解体工事が終わる4月頃から全面的に稼働する予定。

1階は未加熱加工エリアで、原料の受け入れ、鶏肉のカット(手切り・機械切り)、味付け・撹拌、真空包装、トレーパック包装、梱包、製品の出荷などを行なう。製造能力はカット・ミンチが月間80トン、味付け・撹拌が同60トン、アウトパックが同40トン。

2階はフライヤーやスチーマー、過熱水蒸気オーブン、トンネルフリーザー、ブラストフリーザー、半自動計量器などの設備を導入している加熱加工エリアで、製造能力は油調ラインが月間40トン、焼成ラインが同20トン。

3階は応接室や会議室、商品開発室、品質管理室、休憩室などを備える事務所で、12月7日から業務を開始した(住所と電話・FAX番号は変更なし)。

竣工式であいさつした上野実社長は、新社屋の設計・施工などに携わった工事関係者に謝意を表し、「わが社は鶏肉の卸売業をメインに事業を展開してきたが、情報技術やロジスティクスの進化によって、卸売業の存在意義が変化してきている。今までの卸売業のように『仕入れて売る』だけでは、お客様に必要とされなくなるため、人手不足で困っている産地企業やお客様に代わり、自社で加工した商品を提供できるような『製造卸売業』にならなければいけないと考えている。自社で加工できるようになると、様々な部位を過不足なく販売できるようになり、より安定した経営につながるという思いから新社屋の建設を決めた。

今回の工事は新型コロナウイルスの感染防止に気をつけなければならず、工事関係者のご苦労は多かったと思うが、幸いなことに着工以来、感染者や大きな事故もなく、予定通りに竣工式を迎えることができた。個人的には様々な予定がキャンセルになり、時間的に余裕ができて図面をゆっくり見ることができたため、細かいところまでコミュニケーションがとれて、より良いものができたと思う。

新社屋は2つのことを重視して設計していただいた。1つ目は工場視察に来たお客様に『この工場にぜひ仕事を発注したい』と思われること、2つ目は会社に面接に来た人に『この会社で働きたい』と思われること。内覧会で見ていただいたが、安全・安心な商品を製造するために、様々な工夫によって衛生管理を徹底している。従業員がより快適に仕事ができるように、休憩室にはテーブル席、ソファー席、カウンター席などを設けて、いろいろなニーズに応えるようにしている。

この新社屋で製造する商品については、お客様に必ず満足していただけると確信している。本日の竣工式をひとつの節目として社員一同、皆様の期待に沿えるよう、一層の努力を重ねていく」などと述べた。

多数の来賓を代表して㈱日本政策金融公庫岐阜支店農林水産事業統轄の寺島昭氏が「新型コロナウイルス感染症の影響がいまだ収まらず、日本経済も非常に厳しい状況が続いているが、タケムラ商事は創業以来、100年以上の長きにわたりこれまでの困難を乗り越え、今に至っている。また、上野社長をはじめ、従業員の皆様の食に対する安全・安心・おいしさへの追求という揺るぎない信念の下に発展を遂げられてきた。今回の新社屋竣工により、タケムラ商事が今後ますます発展されることが期待できるし、新社屋が新たな躍進へのスタートになると確信している」などと祝辞を述べた。

新社屋の工事に携わった㈱現代設計事務所の奥村忠司社長と中設エンジ㈱の松本吉晴社長に、上野社長から感謝状が贈られ、奥村社長と松本社長から上野社長に記念品が贈られた。新型コロナウイルスの感染状況などを考慮し、乾杯と、食事をしながらの歓談は取りやめとした。

タケムラ商事の竹村功専務取締役が「我々は今後、社会のあらゆるニーズを素早くキャッチするためにアンテナを高く張り、得意先や社会から必要とされるような会社に進化し続けなければいけない。そして皆様から愛される会社となるよう、信頼を積み重ねていきたい」とあいさつし、三本締めでお開きとなった。