『いわくらTKG』で岩倉市が「まちおこし」

名物「モーニング」にも参戦

専用の豆鉢【写真左下】で名古屋コーチン卵を溶くのが決まり。内側の適度な凹凸で滑らかな溶き卵に仕上がり、勢いよく混ぜてもこぼれにくいとのこと

愛知県岩倉市の有志が、市内の産品にこだわった『〝至極の卵かけごはん〟いわくらTKG』を開発。力を合わせて、新たな名産品を作り上げようとしている。

岩倉市は人口約4.8万人。名古屋市の北にあり、面積10.47平方キロメートルの県内で最も小さな市。名古屋駅まで名鉄特急で約11分と都市近郊ながら、豊かな自然に恵まれている。

『いわくらTKG』誕生のきっかけは、市内に本社がある大手ガラス容器メーカー、石塚硝子㈱ハウスウェアカンパニーの社員で、岩倉工場に単身赴任している佐々木崇也さんが2018年のある日に、毎朝通る関戸養鶏人工孵化場の純系名古屋コーチンの卵で「TKGを食べたい!」と思ったこと。同社はその翌年の19年に〝ほぼ卵かけごはんの卵専用〟の容器『ADERIAてびねり片口豆鉢』を開発し、オール岩倉産で〝至極の卵かけごはんをつくる〟プロジェクトを開始した。

岩倉市や、いわくら観光振興会、JA愛知北産直センター岩倉店なども連携・協力し、昨年11月に①関戸養鶏人工孵化場の名古屋コーチンの卵②ADERIAてびねり片口豆鉢③岩倉市産の米「あいちのかおり」④佐藤醸造㈱の「尾張醤油」か「本たまり」(瓶が石塚硝子製)――を使う『オール岩倉産〝至極の卵かけごはん〟いわくらTKG』が完成。

プロジェクトは岩倉市制50周年記念事業「市民の夢 協(かな)えるプロジェクト」にも採択され、「いわくらTKG運営委員会」も発足。多くのメディアにも取り上げられたことから、様々な業態でも提供しやすいよう、名古屋コーチンの卵とADERIAてびねり片口豆鉢を使い、岩倉市内で提供されるTKGを『いわくらTKG』と定義。前述の運営委員会が〝認定証〟を発行し、1月から市内の和食店や喫茶店で提供されている。

このうち、同市野寄町の喫茶店「大喜」では、名古屋名物「モーニング」にTKGが参戦。ドリンク代プラス200円で『いわくらTKG』を提供し、様々なメディアが相次いで取り上げるなど、多くの注目を集めるようになっている。

いわくら観光振興会はTKGに注目した理由について「名古屋コーチンの卵が持つ高い〝ポテンシャル〟を、分かりやすく消費者に伝えたいと考えていた」ことを紹介。「岩倉市に新しい名物を作りたい、とのコンセプトの結果が、『いわくらTKG』として結実した」と話している。