新型コロナウイルスを不活化 キユーピー独自素材「加熱変性リゾチーム」

キユーピー㈱(本社・東京都渋谷区)は、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授と帯広畜産大学との共同研究により、卵白に含まれるたんぱく質の一つの卵白リゾチームを加熱して変性させた「加熱変性リゾチーム」が、新型コロナウイルスを不活化することを確認した(特許出願中)。

キユーピーグループでは国内の鶏卵生産量の約1割を取り扱う食品メーカーとして、卵に関する研究に取り組んでおり、キユーピー独自の製法で生成される加熱変性リゾチームについては、東京海洋大学との共同研究でヒトノロウイルス、新型ヒトノロウイルス、A型肝炎ウイルスの不活化を確認し、すでに発表している。

今回の共同研究では、濃度1%の加熱変性リゾチームを用いると、新型コロナウイルスが20秒で99.5%以上の高い割合で不活化されることが分かった。新型コロナウイルスはアルコールによる不活化がすでに確認されているが、アルコールによる肌荒れやアレルギー反応、宗教上の制約などでアルコールを使用できない場面での環境衛生の改善に、加熱変性リゾチームの活用が期待できる。

今後は、変異株への不活化を検証するとともに、環境衛生の改善を中心に様々な可能性を探りながら、感染予防対策に向けた実用化の検討を重ねていくとのこと。

共同研究者の松本哲哉主任教授は「臨床の現場での新型コロナウイルス対策はアルコール製剤が中心になっているが、口腔内や粘膜、荒れた皮膚などには繰り返して使用するのが難しい。そのような課題の中で、すでにノロウイルスの消毒に広く使用されており、鶏卵成分である卵白リゾチームを加熱変性した加熱変性リゾチームに可能性を感じて共同研究を提案した。この素材は鶏卵の抽出物であり安全性も備えている点で、新型コロナウイルスの感染対策上の意義は大きいと考えられる。加熱変性リゾチームが医療現場など様々な場で活用され、新型コロナウイルスを含めた感染対策の有用な手段となることを願っている」とコメントしている。